東京ロックダウンはあるか?緊急事態宣言でどう変わる?調べてみた

中国雑記

日本における新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が止まりません。

特に東京都における感染者数の増加が深刻で、3月25日に行われた小池東京都知事の会見では「東京をロックダウン(都市封鎖)することになるかもしれない」という言葉もありました。

 

この会見以降、「日本もついにロックダウンか」「東京都封鎖か」といった議論が目立つようになりました。

「緊急事態宣言だ出されれば東京はロックダウンされる」といった論調もありました。

 

ただ、情報が錯綜していて何が正しいのか分からず、まずは自分が“ロックダウン”や“緊急事態宣言”について正しい知識を持たなければいけないと感じ、自分なりに調べました。

そうして調べて分かったことをまとめたのが今回の記事です。

 

ロックダウン(都市封鎖)とは何なのか?

東京ロックダウンの可能性はあるのか?

緊急事態宣言とロックダウンは関係あるのか?

 

上記のような疑問を解消するうえで、少しでもお役に立てれば幸いです。

 

ロックダウン(都市封鎖)とは

ロックダウンとは、「数週間に渡り、対象エリアにおける人の移動制限、強制的な外出禁止、企業の営業活動停止及び生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う」ことです。

分かりやすくするため、私は下記のように理解しています。

 

  • 都市内の外出・行動制限
  • 都市間の移動制限

 

ロックダウンの目的は、対象エリア内の感染拡大を食い止めることと、他の都市への感染拡大を防止することです。

感染者の爆発的な増加(感染爆発)が起きた場合、それに対処できる政治的な措置はロックダウン以外にほとんどないと言われています。

 

ただ、法的に“ロックダウン”という言葉があるわけではありません。

移動制限がどの程度できるか等は法律で決まっているため、各国の法律によって細かい内容は違ってきます。

 

ロックダウンと日本の法律

ロックダウンに関わりそうな日本の法律は下記の2つです。

 

  • 新型インフルエンザ等対策特別措置法
  • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

 

いずれを用いても、現時点では厳しいロックダウンはできないようです。

 

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」では、内閣総理大臣が“緊急事態宣言”を出せることが定められています。

 

ただ、緊急事態宣言を出しても、できるのは“要請”や“指示”止まりです。

法的強制力がある制限や禁止は認められておらず、海外のようなロックダウンは不可能です。

 

緊急事態宣言

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」により、総理大臣は“緊急事態宣言“を出すことができます。

緊急事態宣言までの流れは下記の通りです。

 

  1. 政府対策本部を設置する(第十五条)
  2. 専門家や学識経験者の意見を聴いたうえで(第十八条4項)、基本的対処方針を定める(第十八条)
  3. 感染症が全国的かつ急速に蔓延し、国民生活及び経済に甚大な影響を及ぼす、またはその恐れがある場合、期間と区域を示したうえで、緊急事態宣言を行う(第三十二条)

 

緊急事態宣言を行うと、何がどう変わるのでしょうか?

 

緊急事態宣言によってできること

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の条文を見る限りでは、“緊急事態宣言”そのものが私たちの生活に及ぼす影響は限定的に見えます。

緊急事態宣言によって可能となるのは、法的拘束力のない“要請”や“指示”に過ぎず、内容自体は現在の“自粛要請”などと変わらないためです。

 

緊急事態宣言でできること
  • 住民への外出自粛要請(罰則無し)
  • 学校・社会福祉施設・興行場などの使用停止の要請・指示
  • イベントの開催制限或いは停止の要請・指示
  • 予防接種の実施の指示
  • 臨時医療施設のための土地・建物の使用(同意なしも可)
  • 鉄道・運送会社等への医薬品の運送要請・指示
  • 医薬品・食品等の売り渡しの要請(強制収用も可)

 

まず、緊急事態宣言によって「都道府県知事は住民に対して外出自粛要請を出すことができる」と定められています。

 

【第四十五条】特定都道府県知事は、(略)当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。

 

上記の通り、あくまでも外出自粛の“要請”ができるだけであり、強制力はありません。

以前から「不要不急の外出自粛」の要請は出されていましたし、都道府県知事も夜間や週末の外出自粛要請を既に出しています。

あくまでも“要請”なので、無視して勝手に外出した場合の罰則も定められていません。

 

また、「施設や事業主、イベントに関しては、施設の使用停止やイベントの中止を“要請”し、応じない場合は“指示”ができる」と定められています。

 

【第四十五条2項】特定都道府県知事は、(略)学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。

【第四十五条3項】施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、(略)当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。

【第四十五条4項】特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。

 

上記の通りで、最初に施設の使用停止やイベントの中止を“要請”し、それに応じない場合は“指示”ができます。

更に、指示を行ったらその旨を知事が公表することとなります。

 

上記の“要請”や“指示”の対象は学校・福祉施設・興行用の施設などとされていますが、対象となる施設は法令で追加することができるようです。

そのため、駅や空港、料金所を対象施設に追加し、そこに使用を制限する指示を出すことで緩い移動制限をかけることは不可能ではないようです。

それでも、できるのは“指示”までなので、やはり海外のようなロックダウンにはならないと思われます。

 

緊急事態宣言でのロックダウンは不可能

上記の理由から、緊急事態宣言が出ても、できるのは“要請”や“指示”止まりで、法的な罰則規定を設けた厳しいロックダウン、外出・移動制限はできません。

交通も遮断されません。

実際、安倍総理は4月7日に行われた緊急事態宣言発令の記者会見で、「ロックダウンを行うものではない」と明言しています。

 

個人レベルでは“要請”止まりで、今の状態とほとんど変わらないということです。

緊急事態宣言それ自体が生活に大きな影響を及ぼさない反面、その“要請”や“指示”に従うかどうかは民間に委ねられているということでもあります。

 

法的に厳しいロックダウンが難しい以上、これ以上の感染爆発を防ぐには個人の協力が不可欠です。

国民一人ひとりにかかる責任と自主性は、海外よりも大きいと言えそうです。

 

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」は、患者がいる場所や、ウイルスに汚染されたり、汚染された疑いがある場所の交通を制限或いは遮断することができる法律です。

 

【第三十三条】都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため緊急の必要があると認める場合であって、消毒により難いときは、政令で定める基準に従い、七十二時間以内の期間を定めて、当該感染症の患者がいる場所その他当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる。

【第七十七条】次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

……

五 (略)第三十三条の規定(略)による都道府県知事(保健所を設置する市及び特別区の長を含む。)の命令(略)に従わなかった者

 

こちらは要請や指示とは異なり、法的な強制力があります。

そのため、施設等で集団感染が確認されれば、建物の消毒等感染症の蔓延防止措置を理由に、都道府県知事が建物の封鎖や立ち入り制限を行うことができます。

72時間を上限に、交通制限も可能となっています。

その点は、先述の「新型インフル特措法」よりも厳しいと言えそうです。

 

ただ、この「感染症法」の意図は、「集団感染が起きた“施設”や“建物”を、“消毒等のために”一時的に封鎖する」ことのようです。

東京都全域を「感染症の病原体に汚染された場所」と解釈すれば交通制限もできそうですが、そういった使い方は想定されていないようです。

 

また、建物封鎖の期間は72時間以内と決まっているため、海外のように何週間も都市を封鎖することはできません。

72時間ごとに更新し続けることで疑似的なロックダウンができるかどうかは定められていないようで、そういった想定もされていないようです。

 

超法規的措置

超法規的措置とは、法律などで定められた範囲を越えて行われる特別な措置のことです。

 

超法規的措置を使えば、東京のロックダウンも可能です。

法律で規定されていない“外出禁止”や“商業活動停止”、“交通の遮断”等ができるようになるためです。

 

しかし、超法規的措置を使うかどうかは難しいところだと思います。

現状、検査数が少ないため全体の感染者数が不明で、感染拡大の全体像はつかめていない状態です。

事態の全体像が見えないなかで超法規的措置をとることが、法治国家としての日本の今後に悪影響を残すことにならないかどうか……

超法規的措置については、かなり難しい判断を迫られると思います。

 

ここまでに書いてきた通り、日本の法律においては、海外のようなロックダウンは不可能です。

それでは、実際にロックダウンが行われた国の法律はどうなっていたのでしょうか?

例として、武漢をロックダウンした中国の法律を見ていきたいと思います。

 

武漢(中国)のロックダウンの法的根拠

中国政府によるロックダウンの根拠となったのは、「伝染病防治法」だと考えられています。

特に「第42条」と「第43条」にはロックダウンと思われる記述があります。

 

【第42条】传染病暴发、流行时,县级以上地方人民政府应当立即组织力量,按照预防、控制预案进行防治,切断传染病的传播途径,必要时,报经上一级人民政府决定,可以采取下列紧急措施并予以公告:(一)限制或者停止集市、影剧院演出或者其他人群聚集的活动;(二)停工、停业、停课;(三)封闭或者封存被传染病病原体污染的公共饮用水源、食品以及相关物品;(四)控制或者扑杀染疫野生动物、家畜家禽;(五)封闭可能造成传染病扩散的场所。上级人民政府接到下级人民政府关于采取前款所列紧急措施的报告时,应当即时作出决定。紧急措施的解除,由原决定机关决定并宣布。

【上記要点】伝染病が流行しているとき、行政は以下の措置を取ることができる。

  1. 露店、劇場、その他多くの人が集まる活動の制限或いは停止
  2. 出勤停止、営業停止、学校休校
  3. ウイルスに汚染された可能性がある水源の使用停止
  4. 感染源となる野生動物の管理や殺処分
  5. 伝染病を拡散させる可能性がある場所の封鎖

 

上記の「第42条」では、「ロックダウンの対象エリアにおける、強制力のある住民の外出制限」ができるようになっています。

 

また、下記の「第43条」では、「ロックダウンの対象エリアと他のエリアの交通を遮断し、封鎖できる」ことが定められています。

 

【第43条】甲类、乙类传染病暴发、流行时,县级以上地方人民政府报经上一级人民政府决定,可以宣布本行政区域部分或者全部为疫区;国务院可以决定并宣布跨省、自治区、直辖市的疫区。县级以上地方人民政府可以在疫区内采取本法第四十二条规定的紧急措施,并可以对出入疫区的人员、物资和交通工具实施卫生检疫。省、自治区、直辖市人民政府可以决定对本行政区域内的甲类传染病疫区实施封锁;但是,封锁大、中城市的疫区或者封锁跨省、自治区、直辖市的疫区,以及封锁疫区导致中断干线交通或者封锁国境的,由国务院决定。疫区封锁的解除,由原决定机关决定并宣布。

【上記要点】

  • 伝染病が流行しているとき、地方の人民政府はその一部或いは全域を感染区域に指定できる。
  • 地方の人民政府は感染区域に出入りする人、物及び交通に衛生検査を実施できる。
  • 省、自治区、直轄市の人民政府は感染区域を封鎖できる。
  • 大・中規模都市の感染区域、或いは省、自治区、直轄市を跨いで封鎖し、それに際して交通が遮断される場合は国務院(国)の下で行う。

 

“禁止”や“封鎖”という言葉が使われており、今回のような非常事態に厳しいロックダウンができるようになっています。

中国で行われたロックダウンには、法律上の根拠があったということです。

 

東京のロックダウンは現時点では不可能

現時点では、東京のロックダウンはほぼ不可能です。

 

日本政府や都道府県・自治体には、海外のような厳しいロックダウンを行う権限がありません。

超法規的措置を使えばロックダウンできるかもしれませんが、法治国家としての今後に悪影響を残すことになります。

 

「緊急事態宣言」が出されましたが、状況が劇的に変わることはありません。

緊急事態宣言下でも、政府や行政にできるのは“要請”や“指示”のみです。

「こんな事態なのに外出自粛要請しかできないなんて、ぬるすぎる」という声も分かりますが、今の法律において政府ができるのは自粛要請が精一杯なのです。

 

それはつまり、最終的な判断は個人個人が責任を持ってすることになります。

結局のところ、感染拡大を食い止めるのは国民以外にあり得ないと思っています。

個人個人が最善を尽くすしかありません。

 

私たちがいますべきことは?

海外のようなロックダウンが日本では難しいということは、日本政府にできることは海外に比べて少なく、その分国民一人ひとりの協力が重要だということです。

私たちは今何をすべきなのか、考えてみましょう。

 

海外のようなロックダウンが日本では難しいとなると、過剰な買いだめなどは間違ってもすべきではありません。

私たちがするべきなのは「正しい情報を集め、パニックにならないようにすること」、そして「不要不急の外出を控えること」だと思います。

“不要不急の外出”とはつまり“命に関わらない外出はしない”ということです。

 

  • 命に関わらない外出:遊び、お花見、会食・飲み会等
  • 命に関わる外出:食料品・生活必需品・医薬品の購入、通院等

 

外出する前に、「この外出は命に関わるものだろうか?」と考えてみましょう。

そして命を守るために、可能な限り外出は控えて、家にいましょう。

 

正直、東京は今すぐにでもロックダウンが必要なほど深刻な状態にあると思います。

ただ、日本においては海外のようなロックダウンは現時点では不可能です。

だからこそ国民一人ひとりの意識が本当に大事で、日本の未来は政府ではなく、国民一人ひとりの手に委ねられていることになります。

政府がロックダウンを強制できなくても、自粛要請をロックダウンと同じくらい重く受け止め、一人ひとりが意識して適切な行動をとることが大事です。

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