TOCFLとは?概要や難易度、HSKとの違いをまとめ!

台北101の画像 TOCFL

今回は、TOCFLについての記事です。

 

「TOCFLってどんな試験?」

「HSKや中国語検定と何が違うの?」

「TOCFLのレベルや難易度は?」

といった疑問にお答えできればと思います。

 

TOCFLは台湾華語の能力を測る試験で、台湾が好きな方や、台湾へ留学したい方におすすめです。

この機会にTOCFLという資格の理解を深めていただけると幸いです。

 

私もTOCFLの模擬試験を受けてみたので、実際に受験した感想も参考程度にご紹介します。

 

TOCFLとは何の試験なのか

高台から台北を見下ろした画像

TOCFLとは、台湾で話されている中国語(台湾華語)の能力を証明する唯一の資格です。

レベルは「入門級」から「精通級」までの6段階に分かれており、台湾華語の運用能力を正確に測ることができます。

 

台湾華語の運用能力を測る試験

TOCFLは、Test Of China as a Foreign Language(華語文能力測験)」の略で、日常生活における台湾華語の運用能力を測るための試験です。

国家華語測験推動工作委員会が開発し、台湾政府が認定する、唯一の台湾華語の資格です。

 

TOCFL日本事務局の公式サイトに、TOCFLは台湾華語の実用的なコミュニケーション能力を測るための試験だということが明記されています。

 

本検定試験の目的は台湾華語学習者の日常生活における言語使用能力を測ることにあり、特定の教材に基づいての出題は行っていません。試験内容は様々な日常生活の場面を想定して出題されて、題材は実生活に近く、そして多元的です。

引用:TOCFL日本事務局

 

今回私はTOCFLの模擬試験を受けたのですが、確かに日常生活の場面を想定した問題が多かったと思います。

例えば、問題文として「ガソリンスタンドの説明書き/メール/手紙/張り紙広告」などが与えられ、その内容についての設問に答えるような問題がありました。

 

TOCFLのレベルと難易度

TOCFLのレベルは、大きく「Band A」、「Band B」、「Band C」の3つに分かれます。

そして、それぞれのBandは、更に小さな2つのレベルに分かれます。

例えば、「Band A」は、「入門級」と「基礎級」に分かれます。

 

TOCFLのBandとレベル

引用:TOCFL日本事務局

 

上記の表の「レベル(級)」のところをまとめると、このようになります。

 

  • 入門級(A1)基礎級(A2) = Band A
  • 進階級(B1)高階級(B2) = Band B
  • 流利級(C1)精通級(C2) = Band C

 

TOCFLのレベルの決まり方

TOCFLのレベルの決まり方は若干特殊です。

先述の通り、大きく「Band A」、「Band B」、「Band C」という3つのレベルに分かれています。

受験者は、3つのBandの中から1つを選んで受験します。

そして、実際の試験のスコアによって、最終的なレベルが決まります。

 

Band

問題の種類

合格基準点

レベル(級)

Band A

聴解問題

41点以上

Level 1 入門級

60点以上

Level 2 基礎級

読解問題

42点以上

Level 1 入門級

60点以上

Level 2 基礎級

Band B

聴解問題

46点以上

Level 3 進階級

61点以上

Level 4 高階級

読解問題

48点以上

Level 3 進階級

64点以上

Level 4 高階級

Band C

聴解問題

50点以上

Level 5 流利級

61点以上

Level 6 精通級

読解問題

52点以上

Level 5 流利級

69点以上

Level 6 精通級

参考:TOCFL公式サイト

 

例えば、Band Aを受験し、聴解問題が45点、読解問題が65点だったとしましょう。

Band Aの聴解問題は41~59点の間なので入門級(Level 1)、読解問題は60点以上なので基礎級(Level 2)になります。

 

HSK、中国語検定との違いは?

台湾の道路

中国語の資格と言えば、有名なのはHSKと中国語検定です。

TOCFLとHSKは繁体字と簡体字の違いがあり、TOCFLと中国語検定は漢字に加え、規模が世界か日本かという違いもあります。

 

TOCFL、HSK、中国語検定のレベルと難易度も異なります。

 

TOCFLとHSK・中国語検定を比較する

TOCFLとHSK、中国語検定との違いをまとめてみました。

 

 

TOCFL

HSK

中国語検定

主催団体

台湾政府認定

中国政府認定

日本中国語検定協会

求められる中国語

台湾華語

中国語(共通語)

中国語(共通語)

漢字

繁体字

簡体字

簡体字

試験内容

リスニング

リーディング

リスニング

リーディング

ライティング(3級以上)

リスニング

リーディング

ライディング

スピーキング(準1級以上)

試験日程

年4回(2019年3月、5月、8月、11月)

※試験会場によって異なる

年最大12回

※試験会場によって異なる

年3回(3月、6月、11月)

※1級は11月のみ

受験会場

日本全国主要都市/台湾本土/世界各国

※日程によって異なる

日本全国主要都市/中国本土/世界各国

※日程によって異なる

日本全国主要都市/中国本土/台湾/シンガポール

※準1級と1級の面接は東京と大阪のみ

有効範囲

日本国内/台湾本土

日本国内/中国本土

日本国内

公式サイト

TOCFL日本事務局

HSK日本実施委員会

日本中国語検定協会

 

TOCFLは、どちらかと言うとHSKに似ています。

台湾と中国、それぞれの政府が認定する資格で、世界各国で施行されている点も同じです。

 

違いとしては、

  • TOCFL:台湾華語(繁体字)
  • HSK:中国共通語(簡体字)

ということでしょう。

 

HSKは中国へ留学したり中国で仕事をしたりするのに必要な場合がありますが、TOCFLは台湾へ留学したり、台湾で仕事をしたりするときに必要です。

 

TOCFL、HSK、中国語検定のレベル・難易度比較

TOCFLの難易度を中国語検定、HSKのそれと比較してみました。

TOCFLと他の中国語能力検定を比較すると、TOCFLのレベルや難易度をイメージしやすいと思います。

 

今回は下記の3つの方法を使いました。

 

  1. TOCFL日本事務局が公開している相関表
  2. 国家華語測験推動工作委員会(台湾)の相関表
  3. 私が実際に感じた難易度相関表

 

1.TOCFL日本事務局が公開している相関表

TOCFL日本事務局の公式サイトに、TOCFLとHSK、中国語検定の相関表があります。

 

TOCFL、HSK、中国語検定のレベル・難易度相関表

引用:TOCFL公式サイト

 

とても見やすく、分かりやすくまとめられています。

 

ただ、個人的には「Band B 高階級(B2)」よりも「HSK6級」の方が難しいように感じました。

 

私はBand Bの模擬試験を受けて、結果はリスニング・読解共に80点でした。高階級(B2)で満点をとれたことになります。

しかし、HSK6級でも同じことができるとは思えません。

上記の相関表ではHSKの難易度が若干低めに見積もられているのかな?と個人的には思いました。

 

だた、TOCFLの「Band B」は「HSK5級」よりも難しく感じました。

「Band B」はHSK5級と6級の中間のイメージかもしれません。

 

2.国家華語測験推動工作委員会が公開している相関表

国家華語測験推動工作委員会の公式サイトにも相関表があります。

CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に照らし合わせながら、TOCFLとHSKのレベルを比較しています。

 

※CEFRとは

学習者の外国語の習得状況を、言語や国の枠を越えて単一の基準で測ることができる指標です。A1からC2までの6つの等級があり、

  • A1、A2レベルは「基礎段階の言語使用者」
  • B1、B2レベルは「自立した言語使用者」 
  • C1、C2レベルは「熟達した言語使用者」

とされています。

参考:ブリティッシュ・カウンシル

 

TOCFLとHSKをCEFRに照らし合わせた表

引用:国家華語測験推動工作委員会

 

実際に感じる難易度にかなり近いと思います。

個人的には、HSK6級はもうちょっと難易度高めかな?と思います。

 

3.私が実際に感じた難易度相関表

TOCFL日本事務局や国家華語測験推動工作委員会の公式サイト、そして私も含む実際に受験した方々の感想も踏まえて、難易度の相関表を作成してみました。

 

TOCFLとHSKと中国語検定のレベルをCEFRに当てはめてみた

 

上記の相関図は、日本人学習者が実際に感じる難易度に近いんじゃないかと思います。

 

もっとも、TOCFL・HSK・中国語検定の難易度やレベルを単純に比較することはできません。

目的も、試験内容も、問題内容も異なる資格を比べることには限界があります。

難易度は主観的なものでもあり、人によって感じ方が違う可能性もあります。

従って、この記事で紹介している相関表は参考程度にご覧いただくのがいいかと思います。

 

簡体字学習者がTOCFLの模擬試験を受験してみた

台北市の夜景

簡体字学習者の私が、TOCFLの模擬試験を受けてみました。

 

TOCFLは台湾華語の資格ということで、簡体字ではなく繁体字を使います。

模擬試験の前に簡体字と繁体字のどちらを使うか選べるのですが、せっかくなので繁体字を選びました。

今回は、国家華語測験推動工作委員会が提供している模擬試験を利用しました。

「模擬試題」 → 「線上模擬」と進んでいただくと、ブラウザで模擬試験を受けることができます。

 

私のレベルとTOCFL Band Bの詳細

TOCFLの難易度や感想は、受験者の学習歴やレベルによって異なります。

そのため、私の中国語(簡体字)の学習歴とレベルを簡単にご紹介します。

 

  • 2012年4月末から中国語を始める(2019年3月時点で7年弱) 
  • 中国語検定準1級
  • HSK6級
  • 繁体字の学習経験はなし

 

今回はTOCFLのBand Bの模擬試験を受けてみました。

 

「TOCFL Band B」のレベルと難易度

引用:TOCFL日本事務局

 

HSK、中国語検定に照らし合わせると、Band Bは中国語検定2級、HSK5~6級というところですね。

 

模試の結果

Band Bの模擬試験の結果は、リスニングが80点、読解が80点で、高階級になりました。

 

TOCFL Band Bの成績

 

結果はよかったのですが、私は簡体字学習者で、繁体字も台湾華語も勉強したことがなかったので、難しいと思ったところもありました。

中国共通語と台湾華語、簡体字と繁体字のギャップを随所で感じました。

 

TOCFLの難しかったところ

TOCFLのBand Bの模擬試験を受けてみて、難しいと思ったのは下記の3点です。

 

  1. リスニング
  2. 台湾華語特有の語彙
  3. 繁体字特有の漢字

 

順番に解説していきますね。

 

1.リスニング

リスニングは随所に難しいところがありました。

ポイントは、台湾華語には、漢字が中国の共通語と同じでも、声調は異なるものがあるということです。

 

例えば「一週間」や「今週」などの「週」を表す単語は、台湾華語も共通語も共通して「星期」です。

しかし、「星期」の声調は台湾華語と共通語で異なります。

共通語は「星期」を「xīng qī(第1声)」と発音しますが、台湾華語は「xīng qí(第2声)」と発音します。

 

もうひとつの例を挙げますね。

 

「地方」という単語の声調も、台湾華語と共通語で異なります。

共通語は「地方」を「dì fang」と発音しますが、台湾華語は「dì fāng」と発音します。

 

「星期」や「地方」のような単語が出てきた瞬間、どうしても頭の中で「台湾華語の声調が共通語のそれと違うんだ」ということを意識してしまいます。

そのとき、意識は耳ではなく頭の中に向いているため、それに続く内容を聞き漏らしそうになることがありました。

 

2.台湾華語特有の語彙

台湾華語は基本的に、中国語の共通語とほとんど同じですが、全く同じではありません。

先述の声調もそうですが、単語にも異なるものがあります。

 

例えば「自転車」という単語です。

共通語は「自行车 / zì xíng chē」と言いますが、台湾華語は「脚踏车 / jiǎo tà chē」と言います。

 

私がやった模擬問題は、リスニングのパートで自転車に関する問題が出題されました。

台湾華語で自転車を「脚踏车」と言うことを私はたまたま知っていたので、運よく聞きとることができました。

 

ただ、「台湾華語の「脚踏车」は自転車のこと」という事前知識がなければ、聞きとるのは難しかったと思います。

また、台湾華語と共通語の違いは「自転車」のような日常的な単語にも隠れているんだということを改めて感じました。

 

3.一部の繁体字

繁体字についても、パッと見何が書いてあるのか分からない繁体字がありました。

全ての繁体字が分からないわけではありませんが、簡体字学習者の私にとっては、分からない繁体字がいくつかありました

繁体字には、中国語の簡体字とも、日本語の漢字とも異なる漢字があります。

 

例えば、簡体字の「而」や「让」の繁体字はそれぞれ「兒」、「讓」と書きます。

また、個人的に要注意なのは繁体字の「當」で、この「當」を簡体字で書くと「当」です。

「富」と似ていますが微妙に違うので、「當(当)」と「富」を間違えないように注意が必要です。

 

簡体字学習者がTOCFLの模擬試験を受けて思ったこと

全体的な感想として、簡体字学習者がTOCFLを受けるのであれば、台湾華語をたくさん聞いて慣れておいたほうがいいと思います。

台湾華語特有の単語もできるだけ知っておくといいですね。

 

一方、繁体字は特別に勉強しなくても大丈夫なはずです。

繁体字を書けなくても、読むことはできると思いますし、読むことができれば問題を解くこともできます。

また、よく分からない繁体字があったら無視してしまってもいいと思います。

前後の文脈を読みとれれば文章の意味も分かりますし、読解に支障は出ないはずです。

 

TOCFL Band Bの感想をまとめますね。

 

  • 簡体字学習者にとっては、慣れ親しんだ共通語と台湾華語のギャップを感じる場面は少なくない
  • 特に「声調」と「単語」の違いに注意する
  • 繁体字を覚えようとしなくても大丈夫だと思うが、余裕があれば覚えても無駄にはならない

 

TOCFLはHSKの次の目標におすすめ

鈴のような飾り物

TOCFLは台湾華語の運用能力を測る試験です。

しかし、簡体字学習者も、HSK6級を取ったらTOCFLを受験してみてもいいのではないかと思います。

もちろん、繁体字学習者は積極的にTOCFLを狙っていくのがおすすめです。

 

TOCFLは台湾に留学したり台湾で仕事をしたりするときに使えます

台湾と日本は人の往来も多く、何らかの形で台湾とのやり取りがある企業も多いことから、台湾政府公認の台湾華語資格であるTOCFLの認知度や重要性もこれから高まってくるんじゃないかと思っています

 

簡体字学習者の方は、もしHSK6級を持っているなら、TOCFLは「Band C」に挑戦してもいいと思います。

私は今回はBand Bをやってみましたが、本試験はBand Cにしようと思います。

 

Band Bの難易度はHSK5級と6級の中間という感じがするので、HSK5級を持っているならBand Bから始めてみるといいと思います。

 

今回の記事は以上となります。

台湾華語の資格、TOCFLをご紹介しました。

 

台湾華語を勉強中の方、台湾が好きな方、中国語検定やHSK以外の資格に挑戦してみたい方はTOCFLがおすすめです!

コメント

  1. […] 中国語の資格試験の受験私はオーストラリア留学後はオーストラリアで永住権、市民権をとりそこで生きるつもりなので英語圏でも知名度のあるHSKを受験しようと考えています。「台湾にワーキングホリデーに行ったことがある」だけよりも実際にHSKのレベルで伝えられた方が英語圏の人にも語学力を証明できるのではないかと考えているためです。もともと中国語検定4級合格を目標に初級本を勉強していたので、比較としてHSKの問題も見たことがあります。HSKは漢字字体を知らない文化圏の人向けの検定試験なので漢字の知識がある日本人からすれば易しいと聞いていた通り、確かに問題は解きやすかったです。その一方で中国語検定は中国語の文法をしっかり学ばないと解けないので日本人向けだそうです。自分の中国語力を測るには中国語検定が良さそうですが英語圏では通用しないのでHSKを受けるつもりです(中国語検定は対策本だけ買おうかなと考えています)。台湾華語の能力試験(TOCFL)もあるそうなのですが台湾でしか知名度が無いそうなので受験するかどうかは未定です。こちらのブログで中国語勉強歴7年の方による中国語検定、HSK、TOCFLの比較について詳しくまとめられていました。「TOCFLとは?概要や難易度、HSKとの違いをまとめ!」実際に3つとも受験された筆者の感覚による3つの検定難易度の相関表もまとめられており参考になります。 […]

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