HSK4級の作文【単文をスラスラ書くコツを解説します】

HSK

「HSK4級の作文問題を書けるようになりたい」今回はこんなお悩みについて解説したいと思います。

 

HSK4級からは自由記述式の問題が出題されるようになります。

中国語の文をほぼ一から自分で作る問題です。

(“ほぼ”と書いたのは、HSK4級の作文の場合は“お題となる写真”と“単語”が一つずつ与えられるからです)

 

自由記述式の問題は、一見すると「何書いてもいいから楽」だと思いがちですが、実は結構難しいです。

 

私も作文が書けなくて結構苦労していました

私は中国語検定4級に受かってからHSK4級を始めたのですが、中国語検定4級の作文って翻訳なんですよね

翻訳は単語と文法さえ知ってれば何とかなりますが、自由記述式だと使う単語や文法も自分で考えます

 

今回は、そんな私の経験も踏まえつつ、HSK4級の作文対策を解説したいと思います。

 

結論から言いますと、作文は常日頃から書く機会を設けて練習するのが一番だと思います。

ただ、日頃から作文を書くにしても、最低限の作文の書き方は押さえておくといいと思います。

 

「誰が、何を、どうした」を考えよう

中国語で作文するときは、まず下記の内容を考えてみましょう。

 

  • 誰が(何が)
  • 何を
  • どうした

 

この3つの内容が本当に大事です。

極端な話、この3つの内容が含まれていれば立派な文として成立します。

 

日本語で考えてもそうですよね

「彼が髪を切る」

「友だちがパソコンを買う」

「私は料理をする」

いずれも「誰が、何を、どうした」という3つの内容から構成されています

 

中国語も全く同じで、

「他剪头发」

「朋友买电脑」

「我做饭」

どれもシンプルですが、文としては成立しています。

 

順番に注意!中国語は「誰が、どうした、何を」です

注意点としては、中国語の語順は日本語と異なるということです。

 

日本語の順番は「誰が、何を、どうした」ですが、

中国語の語順は「誰が、どうした、何を」です。

 

意外と間違えやすいところで、私も慣れないうちは結構間違えてました。

頭では分かっていても、いざ自分で作文してみるとなると、ついつい日本語の影響を受けて間違えてしまうんですよね。

 

そうならないためには、“語順”をしっかりと頭で理解した上で、常に意識に置きながら作文するといいと思います。

 

“SVO”が“OSV”になることもある

ただし、「誰が、どうした、何を」の順番にも例外はあります。

どんなときに例外になるのでしょうか?

 

それは、“話し手が「誰が、どうした、何を」の中でも「何を」のところを特に強調したい場合”です。

 

例を見てみましょう。

 

我看过这本书

訳:私はこの本を読んだことがある

 

这本书我看过

訳:この本、私は読んだことがある

 

上記の2つの文、微妙にニュアンスが違いますよね。

前者(私はこの本を~)は特に変わったところのない、普通の陳述文です。

それに対して後者(この本、私は~)は、「この本」というところを強調している感じがしませんか?

 

言い換えると、前者が言っているのは「私はどの(どんな)本を読んだことがあるのか」、

後者が言っているのは「この本を私は読んだことがあるのかどうか」です

 

文の主題は、前者が「私」、後者が「この本」です。

 

中国語の基本的な語順は「誰が、どうした、何を」であるものの、

「何を」のところを強調するときは「何を、誰が、どうした」になることもある

こうやって覚えておくといいでしょう

 

基本的な文の作り方は分かりましたか?

ここからは、シンプルな文により多くの意味を含ませ、生き生きとした文の作り方を解説していきます。

 

“SVO”以外の修飾詞を使ってみよう

修飾詞を使ってみましょう。

修飾詞とは、先述の「誰が、どうした、何を」の要素を修飾することによって、シンプルな文により多くの意味を持たせる役割があります。

 

例えば、

「友だちがパソコンを買う」

この文は文として十分に成立しますが、必要最低限の情報しか入っていません。

 

それでは、下記の例文を見てみてください。

「友だちが〇〇電機でパソコンを買う」

いかがでしょうか?

より具体的な場面をイメージできたのではないでしょうか?

 

修飾詞は、一番大事な3つの要素を修飾するものだと思ってください

単文を作るのに使える主な修飾詞は“介詞”“補語”です

 

“介詞”を使ってみましょう

介詞を使ってみましょう。

介詞というのは、英語の“前置詞”のようなものです。

 

主に「介詞+介詞の目的語」の形で介詞フレーズを作り、「誰が、どうした、何を」の中の「どうした」の前に置かれます。

式にすると下記のような感じです。

 

誰が+{(介詞+介詞の目的語)+どうした}+何を

 

はい、こんな感じですね。

例を見てみましょう。

 

友だちが〇〇電機でパソコンを買う

 

これを中国語で言ってみましょう。

 

まず、「誰が、どうした、何を」を考えてみましょう。

上記の例でいくと、「友だちが、買う、パソコンを」なので、中国語にするとこうなります。

 

朋友买电脑

 

こんな感じですね。

「〇〇電機で」のところは、場所を表す介詞として「在」という介詞を使います。

使い方は「“在”+場所」になるので、今回の例でいくと下記のようになります。

 

在〇〇电器

 

はい、介詞フレーズができました。

それでは、この介詞フレーズは文中のどこに置けばいいのでしょうか?

 

そう、介詞フレーズは「どうした」の前に置かれます。

こうなります。

 

朋友在〇〇电器买电脑

 

介詞は単文の情報量を増やす

介詞を使うことによって、単文にいろんな情報を入れることができます。

具体的には下記の通りです。

 

  • 場所・時間
    • 在:動作の行われる場所や時間を表す
    • 从:起点となる場所や時間を表す
    • 往:移動の方向を表す
    • 朝:向く方向を表す
    • 向:動作の方向や相手を表す
  • 方法
    • 用:用いる道具や方法を表す
    • 通过:媒体や手段を表す
    • 按照:基準となるものを表す「~に応じて」
    • 根据:根拠となるものを表す「~に基づいて」
  • 目的
    • 为:原因や目的、動機を表す「~のために」
    • 为了:上記「为」と同じ
  • 原因
    • 因:原因や理由を表す
    • 因为:上記「因」と同じ
  • 対象
    • 对:動作の対象を表す
    • 对于:上記「对」と同じ
    • 关于:関連する物事を表す
    • 把:動作において処置を加える対象を表す
    • 和:動作の相手や関係の有無を表す「~に対して/~と」
    • 跟:上記「和」と同じ
    • 给:動作の受益者を表す
  • 受け身
    • 被:動作の行為者を導く「~に(…された)」
    • 叫:上記「被」と同じ
    • 让:上記「被」と同じ
  • 比較
    • 比:比較の対象を表す

 

結構ありますね。

覚えるのが大変そうですが、逆に言えば、介詞を使うだけで結構いろんな情報を伝えることができそうですね。

»参考:中国語の虚詞とは?【特徴とメリット、覚え方を紹介】

 

「誰が、どうした、何を」に介詞を加えるだけでもいいのですが、補語も使えるようになっておくと更にいいと思います。

 

“補語”を使ってみましょう

補語にはいくつかの種類があるのですが、共通しているのは

「動作、行為、性質、状態などの補助説明を行う」

ということです。

 

他学汉语了

訳:彼は中国語を勉強した

 

他学会汉语了

訳:私は中国語を習得した

 

こんな感じですね。

 

前者の「他学汉语了」は普通の陳述文で、後者の「他学会了汉语」は補語を使った文です。

ここでは「会」という補語を使ってみました。

「動詞+“会”」で、「その動作の結果、習得してできるようになる」ことを表すようになります。

 

「学(勉強する)」という動詞だけだと、勉強してどうなったか、できるようになったのかどうかは触れられていません

「会」という補語を使って「学会」とすることによって、勉強した結果できるようになった、つまり習得したということを表せるようになります

 

ここでは「会」という補語を例にとって解説しましたが、補語にはいくつかのパターンがあります。

そうは言っても本質的な意義は同じです。

 

補語は「動作や行為、性質、状態などの補助説明」を行う成分です。

 

補語は動作や状態の補助説明

それでは、補語にはどんなものがあるかを簡単に解説していきます。

補語の分類は資料によっても異なりますが、私は下記の分け方が一番分かりやすいと思います。

 

補語の種類
  • 様態補語・程度補語
  • 結果補語
  • 可能補語
  • 方向補語
  • 数量補語

 

様態補語

動詞や形容詞の後に付いて、その動作や状態の様子や程度を表します。

 

文法:動詞・形容詞(どうした)+{“得”+様態補語(様子・程度)}

 

目的語(何を)がある文の場合は、下記の3通りで表すことができます。

 

誰が+どうした+何を+どうした+“得”+様子・程度

誰が+何を+どうした+“得”+様子・程度

何を+誰が+どうした+“得”+様子・程度

 

結果補語

動詞(どうした)の後に付いて、その動作の結果に関する補助説明を加えます。

 

文法:動詞(どうした)+結果補語(その動作の結果)

 

常用される結果補語は大体決まっているので、とりあえず丸暗記してしまうといいと思います。

 

  • 動詞+“见”:視覚、聴覚などで感じ取れたことを表す
  • 動詞+“到”:目的を達成したことを表すとともに、ある地点までの到達や、ある時間までの継続を表すこともある
  • 動詞+“在”:動作が行われた場所や、終着した地点を表す
  • 動詞+“给”:動作の対象を表す
  • 動詞+“懂”:内容や意味が理解できたことを表す
  • 動詞+“错”:動作の結果が間違っていることを表す
  • 動詞+“成”:動作の結果「~に変えた(変わった)」ことを表す
  • 動詞+“住”:固定したり、定着させた、停止させたということ表す
  • 動詞+“会”:習得してできるようになったことを表す
  • 動詞+“完”:動作が完了したことを表す
  • 動詞+“好”:動作が完了したことを表すが、「うまくできた」というニュアンスがある

 

方向補語

動詞や形容詞(どうした)の後について、その動作の方向や、状態の展開を表します。

 

文法:動詞・形容詞(どうした)+方向補語(動作や状態の方向)

 

方向補語は、単純方向補語と複合方向補語に分かれます。

 

  • 単純方向補語
    • 来:話し手の方向へ向かってくることを表す
    • 去:話し手から遠ざかることを表す
    • 上:下から上へ
    • 下:上から下へ
    • 进:外から中へ
    • 出:中から外へ
    • 回:本来の場所に戻る、戻す
    • 过:通過する、限度を超える
    • 起:下から上へ
  • 複合方向補語
    • 上来:上がってくる
    • 上去:上がっていく
    • 下来:下がってくる
    • 下去:下がっていく
    • 进来:入ってくる
    • 进去:入っていく
    • 回来:戻ってくる
    • 回去:戻っていく
    • 过来:近づいてくる
    • 过去:近づいていく
    • 起来:上がってくる

 

可能補語

動詞(どうした)の後に付いて、その動作の結果を達成することができるかどうかを表します。

 

文法:動詞・形容詞(どうした)+{“得/不”+可能補語}

 

上記の式の「可能補語」のところには、結果補語や方向補語が入ります。

 

例えば、下記の例を見てみましょう。

 

私は宿題を終わらせる

 

もし宿題をやる前の段階で、宿題を終わらせることができそうかどうかを言うときは、可能補語を使ってこのように言います。

 

我做得完作业

訳:宿題を終わらせることができる

 

我做不完作业

訳:宿題を終わらせることができない

 

実際に宿題を終わらせることができたら、結果補語を使って「宿題を終わらせたよ!」ということを表しましょう。

 

我做完了作业

訳:宿題が終わった

 

もし終わらせることができなかったら、どうなるでしょうか?

 

我没做完作业

訳:宿題がまだ終わってない

 

こうですね。

 

数量補語

動詞(どうした)の後に付いて、その動作の回数や時間などを表します。

 

文法:動詞・形容詞(どうした)+数量補語(回数や時間)

 

これは比較的分かりやすいんじゃないかと思います。

例を挙げますね。

 

我去过三次中国

訳:私は中国へ3度行ったことがある

 

他睡了十个小时

訳:彼は10時間眠った

 

她学七年汉语了

訳:彼女は中国語を7年間勉強している

 

補語は相当複雑で、文法上の細かいルールもあったりします。

基本的なルールを頭に入れたら、実際に使ってみながら覚えていくのが一番いいと思います。

補語の種類や細かいルールを知るのに役立つおすすめの文法書を貼っておきますね。

 

 

中国語の文、特に単文を書くときのポイントは、

中国語の語順は「誰が、どうした、何を」なんだということをしっかり頭に入れて、

必要に応じて介詞と補語を使う

この2点だと思います

HSK4級の作文に関しても、上記の2点がしっかりできれば問題ないと思います

 

今回の記事は以上となります。

HSK4級の自由記述式の問題対策ということで、中国語の単文を書くのに役立つ知識をご紹介してきました。

 

『HSK4級の作文【単文をスラスラ書くコツを解説します】』まとめ
  • 「誰が、何を、どうした」が文の根幹になるので、最低限この3語を使って文を書けるようにする
  • 語順は「誰が、どうした、何を」になることに注意
  • 修飾詞を使うと、高度な文を作ることができる
    • 介詞:動作の場所や対象、目的を表すことができる
    • 補語:動作や状態の補助説明になる

 

HSK4級を受けるという方は、今回の記事を参考に作文を書いてみてください。

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