今回はリスニングの練習法として「ディクテーション」をご紹介します。
中国語のリスニング、日本人学習者にとっては難しいところです。
私は中国語繋がりで、多くの日本人学習者と知り合いました。
もちろん私よりも遥かに中国語が上手い人も多いですし、そうでない人もいますが、話していると「リスニングが苦手で、文字で見たらわかるんだけど、音声で聞いたら何故か聞き取れない」という話をよく聞きます。
ディクテーションを中国語学習に取り入れることで、この「見たらわかるけど、聞いたらわからない」問題の解決の糸口が掴めると思います。
◆この記事の主張
1.ディクテーションをやると、自分が聞き取るのが苦手な音が分かり、その音を克服することでリスニングが上達する。 |
私も以前は、時々相手の言っていることを聞き間違えたりすることがありました。
それを改善するために、「ディクテーション」という勉強法を取り入れてみました。
ディクテーションをやることの狙いは、自分が正確に聞き取れていない音を知ることです。
例えば私の場合はディクテーションの結果、鼻音「n」と「ng」の聞き分けができていなかったことがわかりました。
それからは鼻音の聞き分けを意識して聞くようにし、今では「n」と「ng」を聞き間違えることがなくなりました。
音を正確に聞き取れるようになったことで、結果として中検準1級のリスニングで8割取るなど、リスニングが更に上達しています。
ディクテーションの方法
ディクテーションとは書き取りのことです。
「音声で聞いたら聞き取れなくなる」というのは、中国語の音を聞くのに慣れていない可能性が高いので、それを克服していきます。
基本的には音声を聞いて、聞こえた中国語を紙に書いていく作業になります。
ディクテーションを行うにあたって、まずは下記のものを準備します。
・音声(できれば文章ではなく、単語のみのもの) ・音声を再生できるもの(パソコンやスマホ、CDプレイヤー等。もしあればパソコンかスマホが便利) ・紙とペン |
具体的な流れは下記の通りです。
◆ディクテーションの流れ ①一つの単語の音声を聞く ↓ ②音声を止めて、聞こえた単語のピンインと声調を書く ↓ ③聞こえた単語の漢字を書く ↓ ④単語10個分程やったら、答え合わせをする |
順番に解説していきますね。
Step1.単語一個分の音声を聞く
ディクテーションは「単語を一個聞いてピンインを書き、終わったら次の単語を聞く」というように、単語を一個ずつ聞いて、書いていく作業です。
そのため、この段階では、単語一個の音声を聞いたら音声を一時停止します。
Step2.聞こえた単語のピンイン・声調を書く
聞こえた単語のピンインと声調を書きます。
ここがディクテーションの肝になってきます。
下記の2点に注意しましょう。
(1) ピンインと声調だけを書き、それ以外(漢字等)は書かない (2) 自信がなくても、何かしらのピンインは直感でもいいので書いてみる |
1.ピンインと声調だけを書き、それ以外(漢字等)は書かない
漢字を先に書いてしまうと、その漢字からピンインを連想できてしまうかもしれません。
そうなると、音を正確に聞き取れていなくてもピンインを書けてしまう可能性があり、ディクテーションの意味が半減してしまいます。
ディクテーションの目的はあくまでも「音声で聞いて聞き取れない原因を知ること」なので、ピンインと声調を先に書きましょう。
2.直感でもいいので何かしらのピンインを書いてみる
そして、ピンインと声調がわからないからといって何も書かないのもNGです。
音声を聞いたら必ず何かしらのピンインは書けると思いますし、直感でも勘でもいいので、何か書いてみてください。
白紙のままでは答え合わせができませんし、そうなると効果も半減してしまいます。
Step3.聞こえた単語の漢字を書く
この段階では、自分でで書いたピンインを基に漢字を書いてみます。
このステップはあくまでも「やらないよりはやった方がいい」くらいの扱いなので、漢字がわからなければ飛ばしてもOKです。
Step4.答え合わせをして、苦手な音をチェック
単語一個ごとに上記Step1~Step3を繰り返し、適当なタイミングで答え合わせをします。
正解のピンインを見ながら、自分の書いたピンインが合っているかどうかをチェックしていきます。
書き間違えたピンインや声調が「自分の苦手な音」である可能性が高いです。
ディクテーションで自分の苦手な音がわかる
ディクテーションをやると、音声を聞いて聞き取れない原因を知ることができます。
ディクテーションによって、自分の苦手な音がわかるからですね。
その音を正確に聞き取れていないことが、リスニングができない原因である可能性が高いです。
例えば、「qi」と「chi」の聞き分けが苦手な人は、「哭泣 / kūqì」という発音を聞いても「kūchì」と聞こえてしまい、結果として「哭泣(泣く)」という単語を導き出せないかもしれません。
たとえ「哭泣」という単語を知っていて、漢字を見たら意味を導き出すことができたとしても、音声で聞くと全く違う音に聞こえているからです。
こういったことはディクテーションをやるまではわからないものです。
ディクテーションと合わせてやるといいこと
ディクテーションをすることで自分にとって聞き取りが苦手な音を知ることができますが、ディクテーションと合わせて音読も取り入れると効果的です。
自分の書いたピンインを音読する
ディクテーションの時、余裕があったら自分の書いたピンインを音読してみるのもおすすめです。
音読することで、自分で自分の間違いに気付けるかもしれません。
自分で発見した間違いは印象に残りますので、後々修正しやすくなります。
音読のやり方
音読は、ディクテーションの⑤の答え合わせの直前にやります。
答え合わせの直前にやることで自分で自分の間違いに気付きやすくなりますし、自分の苦手な音の傾向も見えてくるからです。
自分でディクテーションで書いたピンインを、最初から1回音読してみましょう。
音読は確認程度なので、時間をかけすぎなくても大丈夫です。
「音読してみて自分の間違いに気付けたら最高だけど、気付けなくてもしょうがない」という気持ちで、軽く確認してみるくらいのつもりで音読してみてください。
ここまで、「文字で見たらわかるけど、音声で聞くとわからない」問題の解決策を提案してきました。
この記事の内容をまとめましょう。
・「文字を見たらわかるけど、音声で聞いたらわからない」という方はディクテーションがおすすめ。 ・ディクテーションは、「①一つの単語の音声を聞く → ②音声を止めて、聞こえた単語のピンインを書く → ③聞こえた単語の声調を書く → ④聞こえた単語の漢字を書く →」の流れで進め、この流れを単語10個分ほどやったら答え合わせをする。 ・余裕があれば、答え合わせの前に一度自分で書いたピンインを音読してみると、自分の間違いに自分で気付けるかもしれない。 |
リスニングに苦手意識がある方は、是非試してみてくださいね。
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