今回は中国語の文章を「暗唱」することについての記事です。
私は実際に暗唱を取り入れていますが、とても効果的な勉強法だと思うのでご紹介します。
「中国語を勉強してるけど、どうやって勉強すればいいのかいまいちよくわからない」
「頑張ってるのに効果が感じられないから、なんかいい勉強法を知りたい!」
という方に向けて、勉強法の選択肢を提供できると思います。
◆この記事の主張
1.暗唱は、単語と文法を覚えられる、リスニングとスピーキングを鍛えられるといった効果があった。 2.暗唱の勉強法は、「文章理解 → 音声を聞く → 音読 → 暗唱」という手順で進めるのがおすすめ。 |
この記事を書いている筆者の中国語学習暦は2019年2月時点で7年ほど。
新HSKは6級、中国語検定は準1級まで取得しています。
◆筆者の中国語学習歴 2012/4:中国語を始める 2012/6:中国語検定4級合格 2012/9:新HSK3級、4級ダブル合格(3級298点) 2012/12:新HSK5級合格 2013/4:新HSK6級合格 2014/9~2016/7:北京留学 2018/11:中国語検定準1級一次試験(筆記)合格 2019/1:中国語検定準1級二次試験合格 |
2012年4月末に中国語を始めて、1.5ヶ月後の6月には中国語検定4級に合格することができました。
この1.5ヶ月は、前半(4月末~5月頭)と後半(5月上旬~6月)に分けることができるのですが、前半のメインの勉強法だったのが今回ご紹介する「暗唱」です。
学習期間2ヶ月弱という比較的短期間で中検4級を取得できたのは、暗唱を徹底的にやったからだと思っています。
「暗唱ってそんなにすごいの?」と思うかもしれませんが、暗唱の効果を理解して、正しいやり方でできればとても効果的な学習法だと思います。
中国語の「暗唱」4つの効果
効果的にしっかり勉強しようと思ったら「暗唱」を取り入れてみるのがおすすめです。
私は暗唱を取り入れて、下記のようなメリットを得ることができました。
◆暗唱のメリット (1) 単語と文法を効率的に覚えられる (2) リスニングを効果的に鍛えられる (3) スピーキングを効果的に鍛えられる (4) 独学でも上達できる |
1.単語と文法を効率的に覚えられる
語彙の強化と文法の整理を同時に行うことができるので効率的でした。
文章を暗唱するということは、その文章に使われている単語と文法を覚えることができているからです。
「暗唱」と言われると反論したくなる気持ちもあるかと思いますし、「丸暗記したところで身になってるとは限らないし、意味ないんじゃない?」と思ってしまいますよね。
しかしながら、私はやはり「暗唱できる」=「理解している」と考えています。
これを確かめるには「理解できていないものを暗唱する」ことができるかどうかを考えてみるといいと思います。
試しに下記の数字を暗記してみてください。
96254625140212252018 |
いかがでしょうか?
数字が不規則で桁数も多いので、パッと暗記するのは難しいと思います。
それでは上記の数字に意味を持たせて、理解できるようにしたらどうでしょうか?
例えばこんな感じです。
9625 4625 1402 1225 2018 (前から順番に) 語呂合わせで「クロネコ」 語呂合わせで「シロネコ」 バレンタインの日付の月日を逆にしたもの クリスマスの日付 平成30年の西暦表記 |
今度はいかがでしょうか?
割と簡単に覚えられるのではないかと思います。
数字の「意味」がわかると、その意味を通して数字がスッと頭に入ってきますよね。
その感覚が「理解する」ということです。
理解できていないものを暗唱するのは難しいですし、できたとしても苦労しますので普通はやりません。
逆もまた然りで、暗唱できているということは、暗唱する対象(数字の羅列や文章)を理解しているからこそだと考えています。
2.リスニングを鍛えられる
中国語を暗唱しようとしたことで、リスニングが鍛えられました。
これは暗唱に至るまでの過程が大事だと思っていて、暗唱できるようになるために、暗唱したい文章の音声を繰り返し聞くことにしていたからです。
暗唱できるようになるためには、おすすめの決まった手順があります。
◆暗唱の手順 ①対象の文章を選ぶ ②単語と文法を調べる ③対応する音声を繰り返し聞く ④音読する ⑤暗唱する |
この中の「③対応する音声を繰り返し聞く」のステップをしっかりやると、リスニングが鍛えられます。
私はリスニングが比較的得意で、HSKも中検もリスニング問題は9割以上取れていました。
リスニングがここまで得意になったのは、暗唱の準備で中国語を繰り返し聞いたのも影響していると思っています。
詳しい方法は後述の「私が実践している暗唱の方法」で解説していますので、試してみてください。
3.スピーキングを鍛えられる
スピーキングを鍛えるのにも効果的でした。
これは「そもそもスピーキングってどんなことをするの?」ということを考えるとわかるかと思います。
スピーキングの手順は、下記の二つに分けられます。
◆スピーキングの手順 ①頭の中に文章を構成する ②構成した文章を正確に発音する |
暗唱することで、この二つのスキルを同時に鍛えることができます。
暗唱するときも自然と、
①文章を暗記する ②頭の中で、覚えた文章を再構成する ③構成した文章を正確に発音する |
という、スピーキングとほぼ同じような流れになるからですね。
4.独学できる
暗唱は独学することができます。
暗唱するためのステップは、工夫次第でネイティブスピーカーの助けを借りなくても進めることができるからです。
中国語学習においてネイティブスピーカーから学ぶことと言えば、発音が正確かどうか、自作の文章に間違いがないかどうか、この二点だと思います。
暗唱という勉強法においては、発音の矯正も文章の添削も、自分自身で解決することができます。
発音が正確かどうかは、音読や暗唱のステップで、自分の声を録音しておくことで解決することができます。
文章に間違いがないかどうかも心配いりません。
録音しておけば確認することができますし、暗唱の対象になっている文章は既存の文章であって自作の文章ではないので、正しい可能性が高いからですね。
私の「暗唱」5つのステップを紹介
それでは、私が実践を通して効果実証済みの、おすすめの暗唱の方法をご紹介していきますね。
Step1.暗唱する文章を選ぶ
まずは暗唱する文章を選びます。
暗唱しようと思っても、対象となる文章が決まっていなければどうしようもありません。
と言ってもここで悩むことはなくて、教科書の本文や中検、HSKのリスニング問題等どんなものでも構いません。
私は大学の第二言語用の教科書の本文と例文にしましたが、上級者はCCTVのニュース原稿やHSKのリスニング原稿等もおもしろいと思います。
覚えたいと思う文章を選びましょう。
ただしひとつだけ条件があって、それは「その文章に対応した音声(録音)がある」こと。
暗唱するまでの過程で音声を繰り返し聞くことになりますので、対応した音声が必要になります。
お使いの教科書にCDが付属していればそれを使ってもいいと思いますし、もしなければ中検、HSKのリスニング問題でも問題ありません。
私は教科書付属のCDを使ってました。
Step2.黙読して文法事項・単語を確認
暗唱する前に文章を黙読して「知らない単語はないか、文法は理解できているか、文章の意味がわかるか」を確認しておきます。
暗唱の効果を得るためにはこのステップが必要になります。
意味がわからないものを暗記することはできませんし、効果も半減してしまいます。
ここをしっかりしておかないと暗記するのが苦しくなりますし、暗記できたとしても身につきません。
辞書と文法書が一冊ずつあると便利ですが、もしなければネットで調べてもいいと思います。
周りに中国人がいるなら、その人に聞いたりするのもいいですね。
わからないことをそのままにしないで、この段階でしっかり解決しておきましょう。
文法に関しては以下の記事で紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。
Step3.教科書を見ながら音声を聞く
文章の内容を理解したら、音声を何回も聞きます。
音声を繰り返し聞くことによって文章を暗記するとともに、音感を掴んで音読、暗唱のステップへの下地を作るのが狙いです。
この音声を聞くステップで意識することが2点あります。
・聞き流すのではなく、文章を見ながら聞く ・音声がしっかり頭に入るように集中して聞く |
聞く時間や回数は個人差があると思いますが、私はその文章を暗記できたかどうかを目安にしていて、暗記できるまで繰り返し聞き続けました。
「何も見ないで聞いたほうがリスニングも鍛えられて一石二鳥じゃないの?」という意見もあるかもしれませんが、私の場合は、見ながら聞くのに比べると若干効率が悪いと感じました。
文章を見ながら聞くことで視覚と聴覚という二つの感覚器官を使うことになるので、印象に残りやすいように思います。
文章を見ながら聞いてもリスニングは鍛えられます。
集中して繰り返し聞くようにしてみてください。
Step4.教科書を見て音読する
頭の中で音声を再生できるようになったら、それを実際に声に出していきます。
最初は音読から入ります。
発音の練習になりますし、実際に声に出すことで文章の意味をより一層意識することができます。
音読をするときは「文章の構造」を意識するようにします。
S+V+Oの構造を意識して、読みながら常に「今自分はS、V、Oのどこを読んでいるのか」を自分自身に問いかけるような感覚です。
音読については以下の記事でも紹介しています。
Step5.教科書を見ないで暗唱する
いよいよ最後のステップです。
暗記した文章を、教科書を閉じて暗唱していきます。
暗唱をすることで、単語と文法を理解できているか、流暢かつ正確に発音できるかといったことを確認することができます。
暗唱をするときは鏡を使って、自分の口の動きを確認しながらやるようにしていました。
こうすることで正しい発音を意識することができて、発音のトレーニングになります。
暗唱した文章を録音して、暗唱したものが正確かどうかを確認するのも効果的です。
最初のうちは、自分では正確に暗唱できていると思っていても、録音したものを実際に聞いてみると間違えていたということがあります。
私も最初のうちは、単語を思い出せなくて詰まったり、語順を間違えたりすることがありました。
録音しておけば後からでも気付いて直せるので便利です。
以上、暗唱のメリットと具体的な方法をご紹介してまいりました。
おすすめの勉強法なので、是非試してみてください。
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