中国語の成語の構造を解説します【成語の理解&暗記に役立つ】

単語

中国語の成語って覚えにくいですよね。

 

成語を覚えにくい理由は、もしかしたら「成語の構造を理解できてないから」かもしれません。

「成語の構造」、理解できているでしょうか?

 

「成語の構造」は、成語を解釈する上で貴重な手掛かりとなります。

成語の構造がわかっていれば、成語の理解が深まり、成語を覚えやすくなります。

少なくとも構造を知っててマイナスになることはありません。

 

「構造」と言っても特別難しいことはなく、中国語の基礎文法を勉強したことがあれば、成語の構造も理解できると思います。

 

今回は中国語の成語の構造をまとめました。

ザッと目を通していただければ、中国語の成語に対する理解がより深まると思います。

 

中国語の成語の2大分類

合計3万語以上とも言われる中国語の成語。

大きく分けると、下記の2つのタイプに分類することができます。

 

  • 文・フレーズ形
    単語数個が基礎文法に沿ってきちんと連結しているタイプ
  • 漢字の羅列形
    漢字4文字が何のルールもなくただ横に並んでいるだけのタイプ

 

それぞれのタイプについて、詳しく解説します。

 

文・フレーズ形:文法がある

例えば「得不偿失」という成語は典型的な「文・フレーズ形」です。

「得不偿失」の4文字が、中国語の文法ルールに沿って連結しているためです。

得(得が)+ 不偿(引き合わない)+ 失(損失を) = 得が損に引き合わな
い → 割に合わない

上記の通りで、「得不偿失」は中国語の最も基本的な文法である「主語(誰が)+述語(どうする)+目的語(何を)」のルールに沿っています。

 

漢字の羅列形:文法がない

一方、「乱七八糟」という成語は「漢字の羅列形」です。

「乱七八糟」の4文字は、中国語の文法ルールに沿って並んでいるわけではないからです。

極端に言えば「漢字4文字を適当に並べただけのもの」に等しいわけです。

 

このタイプの成語は「文・フレーズ形」のように分解できず、成語の状態が既に一番小さな単位です。

 

「文・フレーズ形」と「漢字の羅列形」の見分け方

これらを区別する基準は、「成語を分解 or 一部を取った時に、依然意味の通る中国語になるかどうか?」です。

Yesなら「文・フレーズ形」、Noなら「漢字の羅列形」です。

 

例を挙げてみます。

「得不偿失」から「失」を取る →「得不偿(得が引き合わない)」

上記の通りで、“成語”としての意味は失いますが、“中国語の文”としては意味が通ります。

「不偿失(損に引き合わない)」も然り。

 

一方の「乱七八糟」はどうでしょうか?

「乱七八糟」から「糟」を取る →「乱七八(???)」

上記の通りで、中国語として完全に意味不明です。

「乱七八糟」のような「漢字の羅列タイプ」は成語の状態こそが最小単位。

分解 or 一部を取った瞬間に、何の意味もないカタマリになってしまいます。

 

「文・フレーズ形」の例

千帆竞发、初出茅庐、奋不顾身、眉开眼笑、推心置腹……

 

「漢字の羅列形」の例

颠三倒四、不三不四、五颜六色、七零八落、胡说八道……

 

文・フレーズ形の成語【2種類】

文・フレーズ形の成語の特徴は前述の通りで、「いくつかの単語が基礎文法に沿って連結している」ということです。

一口に「文法」と言ってもいろいろありますが、ざっくり大きく分類すると下記の2通りになります。

 

  • 単文形
    「主語+述語+目的語」の組み合わせ1つで作られたもの(主語=誰が、述語=どうする、目的語=何を)。
    「主語+述語」「述語+目的語」の場合もある。
  • 複文形
    2つの単文を組み合わせて作られたもの。
    前半と後半が「並列」「逆説」「仮定」「因果」などの関係にあるのが特徴。

 

例えば、「得不偿失」は単文形です。

得不偿失 = 得(主語)+不偿(述語)+失(目的語)

 

一方、「拔苗助长」は複文タイプです。

「拔苗助长」は、「述語+目的語」の構造が2つ組み合わさった文(成語)だからです。

拔苗助长 = 拔(述語)+苗(目的語)+助(述語)+长(目的語)

 

そして、「拔苗助长」の前半の「拔苗」は手段、「助长」は目的を表します。

拔(述語)+苗(目的語)= 手段
助(述語)+长(目的語)= 目的

複文形の成語はこのように、前半と後半の間に「並列」「因果」「目的」などの関係があるのが特徴です。

 

「単文形」の例

千帆竞发、万马奔腾、初出茅庐、滔滔不绝、奋不顾身……

 

「複文形」の例

眉开眼笑、博古通今、胆大心细、守株待兔、温故知新……

 

単文形の成語【6種類】

単文形の成語は、ここから更に6通りに分類することができます。

下記の通りです。

 

  • 主述フレーズ
    主語+述語(+目的語)
  • 動目フレーズ
    (状態語+)述語+目的語
  • 修飾フレーズ
    限定語+名詞 / 状態語+動詞 or 形容詞
  • 補語フレーズ
    述語+補語
  • 兼語フレーズ
    動詞1+目的語+動詞2
  • 連動フレーズ
    動詞1+動詞2

 

例を見ていきましょう。

 

主述フレーズ

成語の構造が「主語(誰が)+述語(どうする)」に当てはまる成語です。

述語の後に「目的語(何を)」が付く場合もあります。

 

例:「千帆竞发」

千帆竞发
【ピンイン】qiān fān jìng fā
【意味】(無数の船が先陣を競う)勢いがすさまじいこと。
【構造】千帆:主語、竞:述語、发:目的語

 

その他「主述フレーズ」構造の成語

心花怒放、后来居上、百家争鸣、悲欢离合、金碧辉煌……

 

主語は漢字2文字の単語が大半ではあるものの、漢字1字の場合もあるため要注意です。

 

主語が漢字1字の例:「火冒三丈」

火冒三丈
【ピンイン】huǒ mào sān zhàng
【意味】冒:吹き出す、立ち上る。丈:長さの単位。(炎が1丈(3.3メートル)の高さまで立ち上る)烈火のごとく怒る。
【構造】火:主語、冒:述語、三丈:数量補語

 

主語が漢字1文字の「主述フレーズ」の例

骨瘦如柴、精益求精、美不胜收……

 

動目フレーズ

成語の構造が「述語(どうする)+目的語(何を)」に当てはまる成語です。

述語の前に「状態語(動作の様子を説明する)」が付く場合もあります。

 

例:「包罗万象」

包罗万象
【ピンイン】bāo luó wàn xiàng
【意味】あらゆるものを網羅している。
【構造】包罗:述語、万象:目的語

 

その他「動目フレーズ」構造の成語

初出茅庐、囫囵吞枣、不拘一格、畅所欲言、绞尽脑汁、趁热打铁、毫不留情……

 

「動作の場所」を表す言葉も状態語なので、この「動目フレーズ」に含まれます。

 

状態語が「場所」を表す例:「班门弄斧」

班门弄斧
【ピンイン】bān mén nòng fǔ
【意味】班:魯班(大工の神様と言われる)。(魯班の家の前で斧を振り回す)身の程知らずにも才能をてらう。
【構造】班门:(場所を表す)状態語、弄:述語、斧:目的語

 

状態語が場所を表す「動目フレーズ」の例

目中无人、急中生智、纸上谈兵……

 

修飾フレーズ

修飾フレーズは2通りあります。

「限定語(名詞を説明する)+名詞」「状態語+動詞 or 形容詞」のどちらかに当てはまります。

ちなみに、動詞の後に目的語が付くものは、前述の「動目フレーズ」に分類しています。

 

「限定語+名詞」構造の例:「出人头地」

出人头地
【ピンイン】chū rén tóu dì
【意味】頭一つ抜ける、人より抜きんでる。
【構造】出人头:状態語、地:名詞

 

その他「限定語+名詞」構造の例

世外桃源、出水芙蓉、不速之客……

 

「状態語+動詞」構造の例:「捧腹大笑」

捧腹大笑
【ピンイン】pěng fù dà xiào
【意味】腹を抱えて笑う。
【構造】捧腹:状態語1、大:状態語2、笑:動詞

 

その他「状態語+動詞」構造の例

滔滔不绝、焕然一新、举世闻名、恍然大悟、与日俱增……

 

補語フレーズ

成語の構造が「述語(どうする)+補語(動作や状態の様子や程度を説明する)」に当てはまるものです。

 

例:「奋不顾身」

奋不顾身
【ピンイン】fèn bù gù shēn
【意味】身の危険も顧みず突き進む。
【構造】奋:述語、不顾身:補語

 

その他「補語フレーズ」の例

直言不讳、亲密无间、寥寥无几、爱不释手、光彩夺目……

 

兼語フレーズ

成語の構造が「動詞1(どうする)+名詞(何を and 何が)+動詞2(どうする)」に当てはまるものです。

真ん中の名詞は、動詞1の目的語(何を)であると同時に、動詞2の主語(何が)でもあります。

 

例:「望子成龙」

望子成龙
【ピンイン】wàng zǐ chéng lóng
【意味】子どもの出世を願う。
【構造】望:動詞1、子:目的語・主語、成:動詞2、龙:目的語

 

その他「兼語フレーズ」の例

琢玉成器、放虎归山、弄假成真、转危为安、引人入胜……

 

連動フレーズ

かなりの少数派ですが、成語の構造が「動詞1(どうする)+動詞2(どうする)」に当てはまるものもあります。

2つの動詞が時系列で並んでいるのが特徴です。

 

例:「奋发图强」

奋发图强
【ピンイン】fèn fā tú qiáng
【意味】奋发:奮い立つ、图:狙う、意図する。奮起して向上に努める。
【構造】奋发:動詞1、图:動詞2、强:目的語

 

その他「連動フレーズ」の例

自欺欺人、勇往直前、手到擒来……

 

複文形の成語【2種類】

複文形の成語は、ここから更に2段階に分かれていきます。

まず第1段階としては、下記の2通りに分類されます。

 

  • 対等複文形
    成語の前半部分と後半部分が対等な関係にある
  • 主従複文形
    前半と後半が対等ではなく、「主要な部分」と「副次的な部分」に分かれる。主要な部分はだいたい後半に置かれる。

 

「博古通今」は「対等複文形」

「博古通今」は「古今に精通する」という意味です。

つまり「“博古”であると同時に“通今”でもある」ということで、「博古」と「通今」は全く対等、並列の関係です。

「博古」ー「通今」 = 対等な関係

このように、前後が対等の関係にある成語は「対等複文形」と考えることができます。

 

「温故知新」は「主従複文形」

「温故知新」は「古きを温ねて新しきを知る」という意味です。

つまり「“温故”という行動から“知新”という結果を得る」であり、「温故(古きを温ねる)」は原因、「知新(新しきを知る)」は結果ということになるからです。

原因と結果の関係は必ずしも対等ではありません。

「温故」→「知新」 = 因果関係(結果を表す“知新”が主要な部分、原因を表す“温故”が副次的な部分)

 

「対等複文形」の成語の例

眉开眼笑、博古通今、胆大心细、推心置腹、画蛇添足……

 

「主従複文形」の成語の例

万死不辞、分久必合、水涨船高、守株待兔、拔苗助长……

 

対等複文形の成語【4種類】

対等複文形の特徴は前述の通りで、「成語の前半部分と後半部分の関係が対等である」ということです。

この「前半と後半の関係」を基準にすると、対等複文形は下記の4通りに分類することができます。

 

  • 並列関係
    前半と後半が完全に並列の関係。「および」で繋がれる。
  • 逆説関係
    後半が前半を否定するか、予想を裏切るような内容になる。「しかし」や「かえって」で繋がれる。
  • 連続関係
    前半と後半が時系列になっており、時間的な前後関係がある。「そして」で繋がれる。
  • 累進関係
    後半が前半を詳しく、或いは付け加えて説明するもの。「しかも」で繋がれる。

 

例を見ていきましょう。

 

並列関係

並列関係の成語は、成語の前半部分と後半部分が「完全に並列」になっています。

成語の前半と後半を「和(および)」とか「既~又…(~であり…でもある)」で繋げられるのが特徴です。

 

例えば「博古通今(古今に精通する)」は並列関係の成語です。

「博古」と「通今」は完全に対等、並列な関係だからです。

博古通今 = 既“博古”又“通今”

 

並列関係の成語は他の成語と比べて圧倒的に数が多く、同じ「並列関係」の中でも、更にいくつかのパターンに分かれます。

パターン別に例を挙げていきますね。

 

「A+B+C+D」構造

「漢字1文字の単語」が4つ並んだものです。

特徴は下記の通りです。

  • 前半部分と後半部分に分けることができない
  • 漢字4文字は何らかの関係(共通点)がある

 

例:「古今中外」

古今中外
【ピンイン】gǔ jīn zhōng wài
【意味】古:古代、今:現代、中:中国、外:外国。古今東西。
【構造】古+今+中+外

 

その他「A+B+C+D」構造の例

之乎者也、少慢差费、妖魔鬼怪、起承转合……

 

「AA+BB」構造

前半と後半で「全く同じ漢字」がそれぞれ2文字ずつ並んだものです。

特徴は下記の通りです。

  • 前半部分と後半部分に分けることができる
  • 前半と後半はそれぞれ、同じ漢字を2個並べたもの

 

例:「轰轰烈烈」

轰轰烈烈
【ピンイン】hōng hōng liè liè
【意味】規模が大きく勢いがすさまじい。
【構造】轰轰+烈烈

 

その他「AA+BB」構造の例

原原本本、风风火火、兢兢业业、战战兢兢、原原本本……

 

「A+A´」構造

「同じ品詞の単語」が2個並んだものです。

特徴は下記の通りです。

  • 前半部分と後半部分に分けることができる
  • 前半の単語と後半の単語の「品詞」が同じ

 

例:「扑朔迷离」

扑朔迷离
【ピンイン】pū shuò mí lí
【意味】扑朔:足をばたつかせる、迷离:目を細める。物事が錯綜していて見通しが立たない。
【構造】扑朔:動詞、迷离:動詞

 

その他「A+A´」構造の例

精明强干、直截了当……

 

「AB+A´B´」構造

「同じ品詞」が交互になっているものです。

特徴は下記の通りです。

  • 前半部分と後半部分に分けることができる
  • 1文字目と3文字目、2文字目と4文字目の「品詞」が同じ
  • ほとんどの場合、1文字目と3文字目、2文字目と4文字目は「同義語・類義語」or「対義語」の関係にある

この「AB+A´B´」構造の成語は、前半と後半それぞれの内部構造によって更に細かく分類することができます。

 

「主述+主述」構造

「主語(誰が)+述語(どうする)」の構造が2つ並んだものです。

 

例:「心惊肉跳」

心惊肉跳
【ピンイン】xīn jīng ròu tiào
【意味】戦々恐々とする。びくびくする。
【構造】心:主語、惊:述語 + 肉:主語、跳:述語

 

その他「主述+主述」構造の例

博大精深、风平浪静、根深蒂固、国泰民安、人寿年丰、玉洁冰清、胆大心细……

 

「動目+動目」構造

「動詞(どうする)+目的語(何を)」の構造が2つ並んだものです。

 

例:「藏头露尾」

藏头露尾
【ピンイン】cáng tóu lù wěi
【意味】言い逃れをして真相を語ろうとしない。
【構造】藏:動詞、头:目的語 + 露:動詞、尾:目的語

 

その他「動目+動目」構造の例

翻山越岭、开天辟地、垂头丧气、大公无私、废寝忘食、专心致志、争先恐后、争分夺秒、张牙舞爪、斩钉截铁、指手画脚……

 

「修飾+修飾」構造

この構造は2通りあります。

「限定語(名詞を説明する)+名詞」の構造、或いは「状態語+動詞 or 形容詞」の構造が2つ並んだものです。

 

「限定語+名詞」の例:「鸡毛蒜皮」

鸡毛蒜皮
【ピンイン】jī máo suàn pí
【意味】(鶏の毛やにんにくの皮)取るに足らない些細なこと。
【構造】鸡:限定語、毛:名詞 + 蒜:限定語、皮:名詞

 

その他「限定語+名詞」の例

丰功伟绩、花言巧语、诗情画意、血雨腥风、字里行间……

 

「状態語+動詞」の例:「精打细算」

精打细算
【ピンイン】jīng dǎ xì suàn
【意味】綿密に計画を練る。
【構造】精:状態語、打:動詞 + 细:状態語、算:動詞

 

その他「状態語+動詞」の例

大摇大摆、高谈阔论、不骄不躁、能屈能伸、藏龙卧虎、道听途说、东张西望、……

 

「補語+補語」構造

「述語(どうする)+補語(述語の様子や状態を説明する)」の構造が2つ並んだものです。

 

例:斩尽杀绝

斩尽杀绝
【ピンイン】zhǎn jìn shā jué
【意味】斩:切る、断つ。皆殺しにする。
【構造】斩:述語、尽:補語 + 杀:述語、绝:補語

 

その他「補語+補語」構造の例

见多识广、起早摸黑……

 

逆説関係

成語の後半部分が前半部分を否定するか、予想を裏切るような内容になっています。

成語の前半と後半を「但是(しかし)」や「反而(かえって)」等で繋げられるのが特徴です。

 

例:「功成不居」

功成不居
【ピンイン】gōng chéng bù jū
【意味】居:自分のものにする。功績を立てても、それを自分の手柄としない
【構造】功成:客観的な事実 + 不居:事実からくる予想を裏切る(“功成”了也“不居”)

 

その他「逆説関係」の例

半途而废、不言而喻、浅尝辄止、处变不惊、欲言又止……

 

連続関係

成語の前半部分と後半部分が時系列になっており、時間的な前後関係があります。

成語の前半と後半を「然后(そして)」等で繋げることができます。

 

例:「画蛇添足」

画蛇添足
【ピンイン】huà shé tiān zú
【意味】余計なことをする。
【構造】画蛇:行動、添足:前の行動の後に続いて行われる動作(“画蛇”然后“添足”)

 

その他「接続関係」の例

画龙点睛,居高临下、出神入化、继往开来、置之不理、亡羊补牢、一举两得……

 

累進関係

成語の後半部分が前半部分を詳しく説明する、或いは付け加えて説明しているものです。

成語の前半と後半は「而且(しかも)」等で繋げることができます。

 

例:「得陇望蜀」

得陇望蜀
【ピンイン】dé lǒng wàng shǔ
【意味】陇、蜀:どちらも古代中国の地名。(隴を得て蜀を望む)貪欲で飽くことを知らない。
【構造】得陇:行動、望蜀:前の行動よりも一歩進んだ内容(“得陇”还“望蜀”)

 

その他「累進関係」の例

得寸进尺、得一望十、融会贯通……

 

主従複文形の成語【4種類】

主従複文形の特徴は前述の通りで、「主要な部分と副次的な部分に分かれる」ということです。

主要な部分は後半、副次的な部分は前半に置かれるのが基本です。

この「主要な部分と副次的な部分の関係」にスポットを当てると、主従複文形は下記の4通りに分類することができます。

 

  • 仮定関係
    前半が「仮定」、後半がその「結果」を表す
  • 条件関係
    前半が「条件」、後半がその「結果」を表す
  • 因果関係
    前半が「原因」、後半がその「結果」を表す
  • 目的関係
    前半が「行動」、後半がその「目的」を表す

 

例を見ていきましょう。

 

仮定関係

成語の前半が「もしも~」という仮定、後半がその仮定に基づく結果を表すものです。

成語の前半と後半は「如果~就…(もし仮に~なら…)」や「如果~也…(もし仮に~でも…)」等で繋げられるのが特徴です。

 

例:「宁死不屈」

宁死不屈
【ピンイン】nìng sǐ bù qū
【意味】宁=宁可:むしろ~しても…しない。たとえ死んでも屈服しない。
【構造】宁死:仮定、不屈:前の過程に基づく結果(“宁可死”也“不屈”)

 

その他「仮定関係」の例

百问不烦、万死不辞、百口莫辩……

 

条件関係

成語の前半が「~であれば」という条件、後半がその条件下での結果を表すものです。

成語の前半と後半を「只要~就…(~であれば…)」等で繋げることができます。

 

「仮定関係」と「条件関係」は、構造上はよく似ています。

区別としては、それぞれの成語の前半部分を見るとわかりやすいと思います。

  • 仮定関係:前半の仮定は事実ではなく、現実に起こる可能性も低い
  • 条件関係:前半の条件は事実か、或いは現実に起こり得る

 

例:「琢玉成器」

琢玉成器
【ピンイン】zhuó yù chéng qì
【意味】(玉を磨けば器になる)鍛えれば有能な人間になれる。
【構造】琢玉:条件、成器:前の条件を満たした場合の結果(只要“琢玉”就“成器”)

 

その他「条件関係」の例

集思广益、得心应手、名正言顺……

 

因果関係

成語の前半が「~だから」という原因、後半がその結果を表すものです。

成語の前半と後半を「因为~所以…(~だから…)」等で繋げられるのが特徴です。

 

例:「感恩图报」

感恩图报
【ピンイン】gǎn ēn tú bào
【意味】恩に感謝し、それに報いようとする。
【構造】感恩:原因、图报:結果(因为“感恩”所以“图报”)

 

その他「因果関係」の例

云雾迷蒙、大惊失色、惊慌失措、温故知新、唇亡齿寒……

 

目的関係

成語の前半が行動、後半が「~のために」という目的を表すものです。

成語の前半と後半を「~是为了…(…のために~)」等で繋げることができます。

 

例:「拔苗助长」

拔苗助长
【ピンイン】bá miáo zhù zhǎng
【意味】間違った好意は事をそこねる。
【構造】拔苗:行動、助长:前の行動の目的(“拔苗”是为了“助长”)

 

その他「目的関係」の例

克己奉公、舍己为人、守株待兔……

 

漢字の羅列形の成語

単語の羅列形の成語の特徴は、「漢字4文字が何のルールにも従わず、ただ横に並んでいるだけ」ということです。

ルールがないということは、「文・フレーズ形」の成語のように分解することもできないということ。

覚えるときも丸暗記するしかないということです。

 

例:「颠三倒四」

颠三倒四
【ピンイン】diān sān dǎo sì
【意味】つじつまが合わない、でたらめである。
【構造】颠、三、倒、四(漢字4文字の羅列)

 

その他「漢字の羅列形」の例

一塌糊涂、一干二净、不三不四、五颜六色、乱七八糟、七零八落、胡说八道……

 

、、、ということで、今回はここまでにしたいと思います。

成語の構造を知ることは、成語を覚えるための裏技ではありません。

ただ、「成語解釈の手掛かりとなり、理解を助ける」という意味で、成語の構造に関する知識はとても役立つと思います。

 

成語をより深く理解し、記憶するために、「成語の構造」を意識してみてもいいかもしれません。

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