「中国語の文法ってどんな特徴があるの?難しいのかな?」
「中国語の文法について何もしらないから、特徴とかをサラっと解説してほしい」
こんなお悩みにお答えします。
この記事では、日本語と違う中国語文法の特徴を6個ご紹介します。
この記事に目を通していただければ、日本語と比較した中国語文法の特徴がわかり、中国語文法の全体像をなんとなくイメージしていただけると思います。
私は2012年から中国語を勉強しています。
私の場合は文法は元々得意なほうで、HSK6級や中国語検定準1級の筆記問題にも活かされたのかなと思っています。
仕事でも中国語の翻訳やメール執筆といった文法知識が必要なこともやっています。
こんな感じで中国語学習歴9年、文法も得意なほうの私が解説しますので、記事の内容もわりと信頼していただいて大丈夫だと思います。
それではいってみましょう!
中国語の文法の特徴6選【日本語と比較する】
これから中国語の文法を勉強する初心者が知っておくべき「日本語と違う中国語文法の特徴」を6個ご紹介します。下記の通りです。
- 特徴①:基本の語順は「主語+述語+目的語」
- 特徴②:「は」「が」などの助詞がない
- 特徴③:語順が変わるだけで文の意味が変わる
- 特徴④:動詞・形容詞が変化しない
- 特徴⑤:過去形がない
- 特徴⑥:人称代名詞の種類が少ない
上記のポイントは中国語文法の超基礎の基礎です。どれも大事なので、上から順番に解説していきますね。
基本の語順は「主語+述語+目的語」
中国語は基本の語順が日本語と違います。
- 日本語:主語+目的語+述語
- 中国語:主語+述語+目的語
日本語は「誰が+何を+どうする」の順番ですが、中国語は「誰が+どうする+何を」の順番です。
例文を見てみましょう。
- 日本語:僕は+本を+読む。
- 中国語:我(僕)+看(読む)+书(本)。
上記の通りで、日本語は「誰が+何を+どうする」の順番ですが、中国語は「誰が+どうする+何を」になっていますよね。
他の例も見てみましょう。
- 日本語:僕は+あなたを+愛してる。
- 中国語:我(僕)+爱(愛してる)+你(あなた)。
これも同じく、中国語は「誰が+どうする+何を」の順番です。
中国語は「誰が、どうする」を最初に行って、後から「何を」を追加するイメージです。
「は」「が」などの助詞がない
日本語には「~は」「~が」といった助詞(「てにをは」と呼ばれたりします)がありますが、中国語にこういった助詞はありません。
例文を見てみましょう。
- 日本語:僕 は(助詞) あなた を(助詞) 愛してる。
- 中国語:我(僕) 爱(愛してる) 你(あなた)。
上記の通りで、中国語は「僕」「愛してる」「あなた」という単語がただ並んでいるだけで、単語と単語の間に「は」「を」などの助詞がありません。
中国語は助詞がないから簡単に見えますが、逆に言えば語順がかなり大事なることを覚えておきましょう。
語順が変わるだけで文の意味も変わる
日本語は語順が変わっても文の意味は変わらないことが大半ですが、中国語は語順が変わると文の意味も変わります。
日本語は「助詞が文の意味を決める」のに対し、中国語は「語順が文の意味を決める」からです。
例文を見てみましょう。
- 日本語①:僕は あなたを 愛してる。
- 日本語②:あなたを 僕は 愛してる。
- 中国語①:我 爱 你(日本語訳:僕はあなたを愛してる)。
- 中国語②:你 爱 我(日本語訳:あなたは僕を愛してる)。
日本語と中国語の両方で「僕」と「あなた」の場所を交換しただけですが、日本語の場合は場所を交換しても意味は変わらない一方、中国語は場所を交換するだけで真逆の意味になります。
中国語では、語順が変わるだけで文の意味も変わります。
だからこそ中国語は語順が大事です。
中国語はどんな語順かというと「主語+述語+目的語」、つまり「誰が+どうする+何を」の順番です。
動詞・形容詞が変化しない
日本語は「時間(過去、未来、等々)」や「意味(命令、否定、等々)」によって動詞や形容詞が変化しますが、中国語の動詞や形容詞は変化しません。
例文を見てみましょう。
- 日本語①:僕は今家にいる。
- 日本語②:僕は昨日家にいた。
- 中国語①:我 现在 在 家里(日本語訳:僕は今家にいる)。
- 中国語②:我 昨天 在 家里(日本語訳:僕は昨日家にいた)。
上記の通りで、日本語は過去のことを「いる → いた」という動詞の変化で表しますが、中国語は今だろうと過去だろうと関係なく動詞は変化せず、「在」です。
他の例も見てみましょう。
- 日本語①:ここに来る。
- 日本語②:ここに来て!
- 中国語①:你 来 这儿(日本語訳:ここに来る)。
- 中国語②:请 你 来 这儿(日本語訳:ここに来て!)。
上記の通り。日本語は命令を表すときに「来る → 来て」のように動詞が変化しますが、中国語は命令文も普通の文も同じ「来」です。
「中国語は語順が文の意味を決める」という話をしましたが、中国語の文法は「パズル」みたいなものです。
単語という“ピース”を切ったり形を変えるのはルール違反で、ピース(単語)をはめる「場所」と「順番」が一番大事だということを意識しましょう。
中国語には過去形がない
上の「中国語は動詞や形容詞が変化しない」に関して大事なこと。日本語は“動詞の過去形”がありますが、中国語には“動詞の過去形”はありません。
中国語は「時間を表す言葉」を文に入れれば、それだけで過去を表せるからです。
例文を見てみましょう。
- 日本語①:僕は 仕事した(過去)。
- 中国語①:我 上班(今 or 未来)。
- 日本語②:僕は 昨日 仕事した(過去)。
- 中国語②:我 昨天 上班 了(過去)。
上記の通り。日本語は過去のできごとを“動詞の過去形”で表すので、「僕は仕事した」と言うだけでも過去のことを言ってるんだとわかります。
中国語は「昨天(昨日)」という“過去の時間を表す言葉”を文に入れることによって初めて、過去を表すようになります。
人称代名詞の種類が少ない
最後にもう1点、人称代名詞の違いについてです。人称代名詞というのは「僕、俺、わたし、あなた、君、彼、あいつ」みたいに、人の名前の代わりとして使われる言葉のことです。
日本語は上述の通りいろんな種類の人称代名詞がありますが、中国語の人称代名詞は非常に少ないです。
例を見てみましょう。
【一人称】
- 日本語:僕、俺、わたし、我々、俺様
- 中国語:我
【二人称】
- 日本語:君、あなた、あなた様、お前、貴様、君たち、あなたたち、お前ら…
- 中国語:你、您、你们
【三人称】
- 日本語:彼、彼女、あいつ、やつ…
- 中国語:他、她、他们、她们
上記の通りで、中国語は日本語よりも人称代名詞がかなり少なくなっています。
単純にシンプルで覚えやすいので、中国語学習者にとっては良いことです。
ということで、日本語と比較した中国語文法の特徴を6個ご紹介してきましたので、下記にまとめてみましょう。
- 特徴①:基本の語順は「主語+述語+目的語」
- 特徴②:「は」「が」などの助詞がない
- 特徴③:語順が変わるだけで文の意味が変わる
- 特徴④:動詞・形容詞が変化しない
- 特徴⑤:過去形や未来形がない
- 特徴⑥:人称代名詞の種類が少ない
上記の6個が中国語文法の基本的な特徴です。最初は「やっぱりと言うか、日本語と違うところが結構あって難しそう…」と感じるかもしれないので、これから中国語文法の「基本中の基本となる語順」をご紹介します。
中国語文法の基本となる語順
ちょっと復習になりますが、中国語は「語順」が極めて大事です。中国語では語順が文の意味を決めているからで、「中国語の文法を勉強する」は言い換えれば「中国語の語順を勉強する」ということと完全に同義です。
中国語では「文法」イコール「語順」。
まずはこれを理解しておきましょう。
それでは中国語の語順はどうなっているかというと、下記の通りです。比較用に日本語の語順も並べてみます。
- 日本語:限定語+主語+限定語+目的語+状態語+述語
- 中国語:限定語+主語+状態語+述語(+補語・アスペクト助詞)+限定語+目的語(+語気助詞)
これが中国語文法の一番基本となる語順です。
言葉の説明。
- 主語:文の主題となる「人」や「物」を表す
- 述語:その人や物の「動作」や「状態」を表す
- 目的語:動作の「対象」を表す
- 限定語:主語や目的語といった名詞の「属性」を表す
- 状態語:動作の「時間、場所、様子、範囲」などを表す
- 補語:動作の「程度、結果、方向、数量」などを表す
例文を見てみましょう。
- 日本語:僕の 友だちは 中国の 文化を 大学で 習った。
- 中国語:我 的 朋友 在 大学 学 了 中国 文化。
中国語は主語より後ろの語順が日本語と違ってくる感じです。
これを見ても大半の人はピンと来ないと思いますが、これは今すぐ理解したり覚えたりしなくても大丈夫です。
中国語の文法を勉強していくときに上記の式を意識していただくと、「今勉強している文法事項は、上記の式のどの要素に当てはまるのか」というのがわかるので理解が深まると思います。
理解できないまでも「知っておく」ことに意味があります。
例外があるので過信は禁物
上で紹介した基本語順はほとんどの中国語の文に当てはまりますが、100%ではありません。
基本語順に当てはまらない例外もあるからです。
そもそも「文法」は後付けなので、中国語の全ての説明できる唯一絶対のルールは残念ながらありません。
ということで、中国語文法の最も基本となる語順をご紹介してきましたが、ちょっと難しかったと思います。
【語順】
- 日本語:限定語+主語+限定語+目的語+状態語+述語
- 中国語:限定語+主語+状態語+述語(+補語・アスペクト助詞)+限定語+目的語(+語気助詞)
【言葉の説明】
- 主語:文の主題となる「人」や「物」を表す
- 述語:その人や物の「動作」や「状態」を表す
- 目的語:動作の「対象」を表す
- 限定語:主語や目的語といった名詞の「属性」を表す
- 状態語:動作の「時間、場所、様子、範囲」などを表す
- 補語:動作の「程度、結果、方向、数量」などを表す
これから文法を勉強する人は、理解できなくても「中国語ってこういうものなんだな」くらいで良いので、何となく知っておいてください。文法を勉強していくなかで、段々と理解できていくはずです。
この記事の最後に「中国語文法の勉強法」を簡単にご紹介します。
中国語文法の勉強法
中国語の文法は下記のステップで勉強するのがおすすめです。
- ステップ①:文法を頭で理解する
- ステップ②:例文を全て暗記する
- ステップ③:暗記した文を何も見ないでアウトプットする
私の知る中で、この方法が一番効率が良いからです。
例えば参考書を使って勉強しているのなら、下記の通りになります。
- ステップ①:参考書の文法の解説を読んで理解する
- ステップ②:参考書の例文と本文を丸暗記する
- ステップ③:暗記した文を見ないでアウトプットする
これを参考書の最初から最後までやる感じです。
最後のアウトプットのステップは、下記のような方法があります。
- アウトプット①:紙に書く
- アウトプット②:声に出して暗唱する
- アウトプット③:パソコンでWordか何かに書いていく
アウトプットするときは自然と文法ルールを意識するので印象に残りやすく、覚えやすいと思います。
この勉強法を見ると「丸暗記なんて効果あるの?」と思うかもしれませんが、語学の勉強において丸暗記はかなり効果的です。文をひとつ暗記できれば、その文に使われている単語と文法ルールを覚えたのとほぼ同じです。
なので、中国語の文法も「頭で理解、用例のインプット、アウトプット」の順番がおすすめです。
ということで、今回の記事は「中国語の文法の特徴」「中国語文法の一番基本となる語順」を解説し、最後に中国語文法の勉強法を簡単にご紹介しました。記事の内容のまとめです。
【中国語の文法の特徴】
- 特徴①:基本の語順は「主語+述語+目的語」
- 特徴②:「は」「が」などの助詞がない
- 特徴③:語順が変わるだけで文の意味が変わる
- 特徴④:動詞・形容詞が変化しない
- 特徴⑤:過去形や未来形がない
- 特徴⑥:人称代名詞の種類が少ない
【中国語の基本的な語順】
- 中国語:限定語+主語+状態語+述語(+補語・アスペクト助詞)+限定語+目的語(+語気助詞)
- 日本語:限定語+主語+限定語+目的語+状態語+述語
【文法の勉強法】
- ステップ①:文法ルールを頭で理解する
- ステップ②:例文を丸暗記する
- ステップ③:例文を何も見ないでアウトプットする
文法学習が一通り終われば、晴れて「中国語の基礎をマスター」、HSKや中国語検定といった資格も中級クラスを狙えるようになってきます。
参考までに中国語検定とHSKのレベルや特徴をまとめた記事を貼っておきますので、興味があればモチベーション維持がてら覗いてみてください。
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