中国語の“把”構文の文法や用法を解説【中国語検定4級対策に】

今回は中国語の“把”構文をできるだけ分かりやすく解説します。“把”構文は話し言葉、書き言葉を問わず非常によく使われ、大事な文法とされている反面、理解するのが難しい文法でもあります。

中国語検定においても“把”構文の問題はよく出てきます。特に中国語検定4級を受けるなら“把”構文を理解しておくことが必須だと言っても過言ではないと思います。

「中国語検定4級を取りたいけど、“把”構文がよく分からない」とお悩みの方へ向けてこの記事を書きます。

“把”構文の文法

“把”構文というのは、中国語の介詞「把 / bǎ」を使って構築されている文章のことです。例えば、下記のような文章が“把”構文です。

老师 这本书放在桌子上了 lǎoshī bǎ zhè běn shū fàng zài zhuōzi shàng le
訳:先生はこの本を机の上に置いた。

“把”構文の語順は、一般的な中国語の語順(主語+述語+目的語)とは異なります。“把”構文の語順はこのようになります。

主語
(~は/が)

述語

“把”

処置の対象
(~を)

動詞
(~する)

補語
アスペクト助詞

用例を見てみましょう。

主語
(~は/が)

述語

“把”

処置の対象
(~を)

動詞
(~する)

補語
アスペクト助詞

老师

这本书

在桌子上了

“把”構文の機能

“把”構文の機能は主に下記の2つがあります。

“把”構文の機能
  1. 目的語(処置の対象)に対して何らかの処置を加えることを際立たせる
  2. 動詞の後に置けない目的語を文中に置く

こう言われても何のことか分かりにくいと思いますので、これからできるだけ分かりやすく解説します。

1.“把”構文は処置の対象を際立たせる

“把”構文には、「“把”の目的語(処置の対象)に対して何らかの処置を加える」ことを際立たせる意味があります。

例えば、

我看完了这本书 wǒ kàn wán le zhè běn shū
訳:私はこの本を読み終えた

この文章はただ事実を述べているだけになります。これを“把”構文にすると、下記のようになります。

这本书看完了 wǒ bǎ zhè běn shū kàn wán le
訳:私はこの本を読み終えた

“把”構文にすることによって、主語である「私」が処置の対象「この本」に対して、何らかの処置(ここでは「読み終えた」)をしたという話し手の意思が加わります。

日本語訳は同じでも、中国語では確かに違いがあります。

このように、“把”構文には「何かに対して処置を加える」ことを強調する機能があります。そしてもう1つの機能は、「動詞の後に目的語を置けない目的語を文中に置く」ということです。

2.動詞の後に置けない目的語とは?

動詞の後に目的語を置くことができない場合、“把”構文を使うことで、“動詞の後に置きたいけど置けない目的語”を文中に置くことができるようになります。

非常に分かりにくいですよね。例を挙げて解説します。“動詞の後に目的語を置くことができない場合”というのは、主に下記の2パターンになります。

動詞の後に目的語を置けない場面
  1. 「動詞+結果補語+目的語」の後に目的語を追加することができない
    例:放在衣柜里衣服 → 把衣服放在衣柜里(服をクローゼットにしまう)
  2. “做”、“成”、“为”などを含む動詞、或いはこれらを結果補語にとる動詞の場合は、これらの後に目的語を置くことができない
    例:翻译成汉语日语 → 把日语翻译成汉语(日本語を中国語に翻訳する)

例えば「服をクローゼットにしまう」と言うときは、「放在衣柜里衣服」は言えません。どうしてかというと、「放(在)」という述語動詞が目的語を2つとれないからです。目的語を2つとれる動詞は限られています。

参考記事:中国語検定4級の文法「二重目的語」を解説します

どうすればいいかというと、“把”を使って処置の対象となる目的語を文中に持ってきてしまえばいいわけです。

「服をクローゼットにしまう」という文章における処置の対象は「服」ですから、先述の“把”構文の語順に従って「服」を「“把”」の後に置きます。その後は中国語の文法に従って動詞「しまう」、結果補語「クローゼットに」の順に並べます。

主語
(~は/が)

述語

“把”

処置の対象
(~を)

動詞
(~する)

補語
アスペクト助詞

衣服

在衣柜里

“把”構文の4つのポイント

“把”構文で注意するべきポイントは下記の4つです。

“把”構文で注意するポイント
  1. “把”の目的語は特定されたものか、聞き手にとって既知のもの
  2. 動詞は目的語を持ち、且つ具体的な動作性がある動詞のみ
  3. 動詞は一人でいられず、後に補語、目的語、アスペクト助詞などを伴う
  4. 否定文は副詞の“没”を使い、動詞の前ではなく“把”の前に置く

1.“把”の目的語は特定されたもの、或いは聞き手にとって既知のもの

“把”構文では、“把”の目的語(処置の対象)は特定されたものか、聞き手にとって既知のものでなければいけません。“特定されたもの”というのはつまり、人間で例えると、

  • 特定されたもの:彼、あの人、私の友だち…
  • 不特定のもの:人類…

こうなります。特定されたものに関しては、顔や性別、国籍、属性のような何らかの情報が特定できると思います。一方、不特定のものは、人間であること以外は特定することができません。

「この本」や「彼の本」はOK、「一冊の本」はダメ

本に例えると、「この本(这本书)」とか「彼の本(他的书)」といったもののことです。世界に星の数ほどある本の中から特定された一冊の本ということですね。

「この本(这本书)」というのは世界に一冊しかありませんし、「彼の本(他的书)」というのも、彼が本を何冊持っているか分からないにしても、世界中に何万何億とある本との差別化はできていることになります。

他把这本书放在桌子上了 tā bǎ zhè běn shū fàng zài zhuōzi shàng le
訳:彼はこの本を机の上に置いた

他把他的书放在桌子上了 tā bǎ tā de shū fàng zài zhuōzi shàng le
訳:彼は彼の本を机の上に置いた

ただの「本(一本书)」は具体的にどの本か特定されていないので、“把”構文に使うことはできません。

間違いの例:
他把一本书放在桌子上了 tā bǎ yī běn shū fàng zài zhuōzi shàng le
訳:彼は本を一冊机の上に置いた

“聞き手にとって既知のもの”でもOK

目的語は特定されたもの、或いは“聞き手にとって既知のもの”である必要があります。

例えば「お金を銀行に預ける」と言ったときに、話の流れで誰のお金かがはっきりしていれば、“把”構文を使うことができます。「あのお金(那笔钱)」とか「私のお金(我的钱)」と言わなくてもいいわけです。

我把钱放在银行里了 wǒ bǎ qián fàng zài yínháng lǐ le
訳:私はお金を銀行に預けた

2.動詞は目的語を持ち、且つ具体的な動作性がある動詞のみ

“把”構文の動詞には条件があります。その条件とは下記の2つです。

“把”構文の動詞の条件
  1. 目的語を持つ動詞であること
  2. 具体的な動作性があること

この点については逆を考えてみると分かりやすいと思います。

 

“把”構文で使えない動詞の4パターン

“把”構文で使うことができない動詞を知っておくといいです。“把”構文で使えない動詞は下記の4種類です。

“把”構文に使えない動詞の種類
  1. 目的語を持たない動詞
  2. 希望や心理状態、感情を表す動詞
  3. そもそも動作性がない(動作を表さない)動詞
  4. 方向を表す動詞

 

まず、目的語を持たない動詞は処置の対象がないので“把”構文に使うことができません。”把”構文の機能は“目的語に対して何らかの処置を加えることを強調する”ことなので、目的語がないとそもそも“把”構文が機能しません。

目的語を持たない動詞

休息 xiū xī|游泳 yóu yǒng|游行 yóu xíng|走 zǒu|跑 pǎo …

 

また、希望や心理状態、感情を表す動詞も使えません。「これらの動詞は目的語を取るのに何でダメなの」と思うかもしれませんが、これらの動詞がダメな理由は“何らかの具体的な処置を加える”ことができないからです。

 

例えば「私はこのことを知っている(我知道这件事情)」という文章を見てみると、動詞「知っている(知道)」は目的語「このこと(这件事情)」に対して何らかの処置を加えているわけではありません。「このこと(这件事情)」にとっては何も処置が加えられておらず、何らかの結果も生じません。

希望や心理状態、感情を表す動詞

愿意 yuàn yì|希望 xī wàng|知道 zhī dào|喜欢 xǐ huān|感动 gǎn dòng …

 

動作性がない動詞も“把”構文には使えません。動作性がなければそもそも処置を加えることができないからです。

動作性がない動詞

是 shì|有 yǒu|在 zài|像 xiàng …

 

方向を表す動詞も基本的には“把”構文に使えません。方向を表す動詞は目的語に対して処置を加えるわけではありませんし、何らかの変化を与えるものでもないからです。

方向を表す動詞

来 lái|去 qù|上 shàng|下 xià|进 jìn|出 chū|回 huí …

 

3.動詞は一人でいられず、後に補語(と目的語)、アスペクト助詞などを伴う

“把”構文の動詞は一人でいることができません。動詞の後に他の成分(例えば結果補語、結果補語+目的語、アスペクト助詞など)を付けてあげる必要があります。イメージとしては、“把”構文は「何かに対して何らかの“処置”を加える」ことを際立たせるので、その“処置”の結果までしっかりと言い切らなくてはいけません。

例えば、「把房间打扫(部屋を掃除する)」は“把”構文としては間違いです。間違っている理由は「打扫」という動詞が一人になってしまっているからです。これを正しい文章にするために、「打扫」という動詞の後に結果補語として「干净」を付けます。

把房间打扫干净 bǎ fángjiān dǎsǎo gānjìng

訳:部屋を綺麗に掃除する

これならオッケーです。

「把书放(本を置く)」も「放(置く)」という動詞が一人になってしまっているのでダメです。一方、「把书放在桌子上」は正しい文章です。場所を導く結果補語「在桌子上(机の上に)」が付いて、動詞が一人じゃなくなったからです。

4.否定文は副詞の「没」を使い、動詞の前ではなく“把”の前に置く

“把”構文の否定文は否定の副詞「没」を使います。“把”構文の否定文で大事なのは「没」を置く場所で、「没」は「把」の前に置きます。動詞の前には置かないので注意が必要です。

間違いの例

我把房间 打扫干净 wǒ bǎ fángjiān méi dǎsǎo gānjìng
訳:私は部屋を綺麗に掃除します

上記の文章は間違いで、下記の文章が正解です。

把房间打扫干净 wǒ méi bǎ fángjiān dǎsǎo gānjìng
訳:私は部屋を綺麗に掃除します

副詞の位置は中国語の文法では“述語の先頭”ということになっています。“把”構文は動詞が一人で述語になっているわけではなく、「把」から処置の結果までが述語になります。

主語
(~は/が)

述語

副詞

“把”

処置の対象
(~を)

動詞
(~する)

補語
アスペクト助詞

房间

打扫

干净

私は上記のように覚えています。「“把”+処置の対象+動詞+他の成分」を述語のカタマリであるととらえ、副詞は述語の先頭に置くと考えれば、没やその他の副詞の位置を間違えることはなくなると思います。

“把”構文の用例

“把”構文は文中における「補語/アスペクト助詞(動詞の後)」の構造によっていくつかのパターンに分けられると思います。下記の7つです。

“把”構文の動詞フレーズの種類
  1. 結果補語(例:他把那件衣服放 在桌子上 了)
  2. 方向補語(例:他把那件衣服收 起来 了)
  3. 様態補語(例:他把那件衣服洗 得很干净
  4. 動量詞(例:请把这件衣服洗 一下
  5. 動詞の重ね型(例:请把房间 打扫打扫
  6. 目的語(例:我把这个消息告诉 了)
  7. アスペクト助詞(例:我把那件衣服扔

上記のパターンごとに用例をいくつかご紹介したいと思います。用例を見て“把”構文の使い方を頭にしみ込ませましょう。

1.結果補語

请把照片挂在墙上 qǐng bǎ zhàopiàn guà zài qiáng shàng

訳:写真を壁に掛けてください

我爷爷把纪念邮票送给我了 wǒ yéye bǎ jìniàn yóupiào sòng gěi wǒ le

訳:私の祖父は記念切手を私にくれました

我可以把日语翻译成汉语 wǒ kěyǐ bǎ rìyǔ fānyì chéng hànyǔ

訳:私は日本語を中国語に訳すことができます

我把礼物送到他家了 wǒ bǎ lǐwù sòng dào tā jiā le

訳:プレゼントを彼の家に届けました

我把会议的资料打印好了 wǒ bǎ huìyì de zīliào dǎyìn hǎo le

訳:会議の資料を印刷し終わりました

2.方向補語

我把那个盒子保存下来了 wǒ bǎ nà ge hézi bǎocún xià lái le

訳:あの箱はとっておくことにしました

他把房子卖出去了 tā bǎ fángzi mài chūqù le

訳:彼は家を売り出しました

3.様態補語

他把房间打扫得很干净 tā bǎ fángjiān dǎsǎo de hěn gānjìng

訳:彼は部屋を綺麗に掃除しました

他把餐具放得很整齐 tā bǎ cānjù fàng de hěn zhěngqí

訳:彼は食器を綺麗に並べました

4.動量詞

请把房间打扫一下 qǐng bǎ fángjiān dǎsǎo yīxià

訳:部屋を掃除してください

你把你的东西收拾一下 nǐ bǎ nǐ de dōngxi shōushi yīxià

訳:あなたのものを整理しなさい

5.動詞の重ね型

请把那本书给我看看 qǐng bǎ nà běn shū gěi wǒ kàn kan

訳:その本をちょっと見せてください

请把房间布置布置 qǐng bǎ fángjiān bùzhì bùzhì

訳:部屋を装飾してください

6.目的語

请把你的电话号码告诉我 qǐng bǎ nǐ de diànhuà hàomǎ gàosu wǒ

訳:あなたの電話番号を私に教えてください

我把这本书给你 wǒ bǎ zhè běn shū gěi nǐ

訳:この本をあなたにあげます

7.アスペクト助詞

我把钱包丢了 wǒ bǎ qiánbāo diū le

訳:財布を無くしました…

请把这个东西拿着 qǐng bǎ zhè ge dōngxi ná zhe

訳:これを持っててください

ここまで、“把”構文をご紹介してきました。中国語検定やHSKにもよく出てくる、とても大事な文法です。この記事を参考にしながら、“把”構文をしっかりと理解していただけたら幸いです。