中国語を勉強していると、1人では解決できない疑問も出てきます。
中国語を独学している人にとって、こういった疑問はやっかいです。
「中国語のネイティブスピーカーに質問したいと思っても、すぐに質問できる相手がいない」
「琦月に質問できればいいけど、そもそも独学だし、、、」
こんなお悩みは、中国語を独学で勉強している人(僕も含む)にありがちだと思います。
そんな独学において便利なのが、いつでも気軽に使える「学習アプリ」です。
特に、中国人に質問したいときに便利なのが「ランゲージ・エクスチェンジができるアプリ」です。
ランゲージ・エクスチェンジとは「言語の交換」のこと。
外国人に日本語を教えたり、かわりにその人の国の言葉を教えてもらうことを指します。
僕は『HiNative』という言語交換アプリを愛用しています。
中国語を独学している人にとってはとても便利なサービスなので、この記事でご紹介したいと思います。
『HiNative』は言語交換アプリ
『HiNative』は、一言にまとめると「ランゲージ・エクスチェンジ(言語交換)アプリ」です。
たとえば、中国語を勉強している日本人が、中国語についての質問を『HiNative』に投稿します。
そうすると、それを見た中国人のユーザーが質問に回答してくれます。
ユーザーは世界中の外国語学習者です。
対応言語は113言語です。
中国語は3種類(マンダリン、台湾の繁体字、香港の簡体字)に対応しています。
料金は基本的に無料です。
有料プランもあるものの、無料プランで十分です。
概要 |
外国語のQ&A、相互学習アプリ |
デバイス |
スマホ、タブレット、PC(ブラウザ) |
対応言語 |
113言語(中国語は3種類) |
ユーザー数 |
約580万人(うち中国人が1割) |
料金 |
無料(有料プランもある) |
『HiNative』でユーザーができることは下記の通りです。
- 文を添削してもらう
- 日本語の意味を聞く
- 中国語の言い方を聞く
- 単語の例文を作ってもらう
- 2つの単語の意味の違いを聞く
- 自分の発音をチェックしてもらう
- 単語や文をお手本として読み上げてもらう
たとえば、下記のような使い方ができます。
- 作文を投稿し、中国語のネイティブスピーカーに添削してもらう
- 日本語の単語を投稿し、その単語は中国語で何と言うかを教えてもらう
- 発音を投稿し、その発音が自然かどうかをネイティブスピーカーにチェックしてもらう
つまり、『HiNative』そのものがランゲージ・エクスチェンジのパートナーのようなものです。
わからないことや知りたいことを『HiNative』に投稿するだけで、中国人の『HiNative』ユーザーとのランゲージ・エクスチェンジができるのです。
独学で勉強している人には特に有益だと思います。
ここまでが、『HiNative』の概要です。
さらに詳しくは『HiNative』のアプリの公式ページをご覧ください。
『HiNative』を始めたきっかけ
僕が『HiNative』を始めた理由は「中国語の表現力を鍛えたい」と思ったことです。
表現力を鍛えたいと思ったきっかけは「中検1級に落ちたこと」です。
僕は2020/11の中検1級に落ちました。
特に、筆記の5(日本語の文を中国語に訳す問題)が無残でした(20点満点の9点)。
そのときのツイートです。
中検1級の結果。完璧に実力不足でした。最後の中国語訳が極端に低く、最大の課題は表現力と言えそうです。他の問題も結構落としていて、知識不足も露呈してしまいました。
— dàshù_大樹@中検準1級×HSK6級 (@shushu9625) December 16, 2020
ただ過去の自分からは成長できたことと、何も知らない井の中の蛙を自覚できたことは大きな収穫でした。来年はリベンジしたい! pic.twitter.com/3JDyXaFGZs
日本語を中国語に訳せなかった理由は、中国語の表現力がなかったからです。
「表現力」とは「自分の言いたいことを中国語で言う能力」です。
表現力を鍛えるには、「中国語を話す」「書く」といった、中国語を使う練習が必要です。
しかし、僕は独学で中国語を勉強しており、中国語を使う機会はありませんでした。
そこで「中国語で作文しよう」と思いました。
自分で書いた文は必ず間違いがあるので、添削してくれる人が必要です。
「独学だから先生はいないし、毎日友だちにお願いするのも申し訳ないな、、、」と思い、使い始めたのが『HiNative』です。
『HiNative』をおすすめする理由
僕は、2021年1月末から『HiNative』を使って中国語を勉強しています。
そして感じたのは、『HiNative』は中国語を勉強している人、特に「独学で勉強している人」にはとても役立つ、ということです。
その理由は4つあります。
- 質問に高確率で返事がある
- 辞書のような感覚で使える
- 勉強目的のユーザーが多い
- PCとスマホに対応している
こちらの質問に高確率で返事をもらえる
『HiNative』で中国語の質問をすると、高い確率で返事をもらえます。
中国人ユーザーが多い一方、中国語を勉強する日本人ユーザーが少ないからだと思われます。
僕は2週間、毎日質問したところ、全ての質問に返事をもらえました。
レスポンス率100%です。
1つの質問にたくさんの返事をもらったこともあります。
独学で勉強している人にとって、ほとんど確実に返事をもらえるのは大きなメリットです。
返事のスピードも早いです。
質問してから1時間以内に、少なくとも1つは返事をもらえました。
早く、確実に返事をもらえるため、効率よく勉強できます。
辞書と同じ感覚で使える
『HiNative』は辞書を引くのと同じような気軽さで、ネイティブスピーカーに質問できます。
『HiNative』では、質問する相手は決まった個人ではないからです。
質問を投稿しておけば、時間のある人が答えてくれます。
知り合いに質問する場合は相手の負担が気になりますが、『HiNative』は遠慮する必要がありません。
『HiNative』は質問に答えられる人だけが答えてくれる仕組みになっています。
質問する側も、気軽に質問できます。
勉強目的のユーザーが多い
『HiNative』は純粋に勉強目的のユーザーが多いです。
『HiNative』では、こちらの質問に相手が答えて終わり。
つまり、1回限りの関係だからです。
言語交換アプリの多くは「出会い目的」のユーザーがいますが、『HiNative』にはほとんどいません。
そもそも『HiNative』は一問一答なので、出会い目的で使えません。
「勉強したい」と思うユーザーが使いやすいように考えて作られています。
その結果、ちゃんとした勉強目的のユーザーが集まっているんだと思います。
PCとスマホのどちらでも使える
『HiNative』はPCとスマホの両方に対応しています。
PCはブラウザ版で、スマホは専用アプリで使えます。
ブラウザ版と専用アプリを使い分けられると便利です。
たとえば「PCで書いた中国語の長文を添削してほしいとき」は、そのままPCで使えるブラウザ版が便利です。
一方、「発音をチェックしてほしいとき」はアプリ版が便利です。
PCよりスマホのほうが手軽に発音を吹き込めるからです。
PCとスマホのどちらがいいかは、時と場合によって違います。
『HiNative』はPCとスマホの両方に対応しているので、臨機応変に使えます。
「HiNative」のおすすめ活用術
僕が実践している、『HiNative』を使って中国語を勉強する方法をご紹介します。
作文の添削をお願いする
中国語で作文して、それを『HiNative』で添削してもらう方法です。
作文の添削をお願いするメリットは3つです。
- 自分の間違いがわかる
- 作文でアウトプットを練習できる
- 読解を練習できる(要約の場合。後述)
「添削をお願いすること」の大切さ
「誰かに添削してもらうこと」は大きな効果があります。
自分の間違いは、自分ではわからないからです。
第3者に指摘してもらって初めて「自分の間違い」と「正しい答え」がわかります。
自分で書いた中国語の文が正しいかどうか、自分ではわかりません。
中国語のネイティブスピーカーに見せて、添削してもらう必要があります。
ネイティブスピーカーに作文を直してもらうことで「自分の間違い」を発見できます。
同時に「より自然な単語や表現」がわかります。
作文を添削してもらうことで、「1人で独学していたときは勉強できなかったこと」を勉強できるようになります。
作文のコツは「要約」すること
作文の内容は「要約」がおすすめです。
中国語のネイティブスピーカーが書いた文章を読んで、その大まかな内容を自分の言葉で説明します。
要約のメリットは「作文のネタに悩まなくていい」ことです。
また、中国語の文章を読んでから要約するので、読解を練習できます。
僕は中国語で書かれたニュースやコラム記事を読んで、200字くらいに要約しています。
中国語のニュースやコラムを探すには、中国の検索エンジン「百度」に好きなキーワードを入力して「咨询」をクリックします。
検索にヒットした文章の中から好きな文章を選んで、読み、要約します。
要約は基になる原文があるので、ネタに困りません。
始めやすく、続けやすい方法です。
僕はここ1ヶ月ほど「百度」の中国語の文を要約して、『HiNative』で添削をお願いしています。
その結果、自分の弱点(たとえば「接続詞を正しく使えない」など)を発見できました。
また、「中国語で作文すること」に慣れてきました。
作文とは「自分の言いたいことを中国語で言う」ことです。
作文の能力を鍛えることは、文章力だけでなく、会話力を向上させるのにも役立ちます。
作文は1人でもできて、文章力や会話力を含めた総合的な表現力を高められる。
中国語を独学で勉強している人に強くおすすめしたい勉強法です。
作文の添削をお願いする方法(無料の場合)
『HiNative』で作文の添削をお願いするのは簡単です。
下記の4ステップです。
このときに大事なことがあります。
それは、作文とは別で、冒頭に「添削をお願いします」の一言を添えること。
たとえば、下記のように書きます。
- 请问这篇文章看起来自然吗?(この文章は自然ですか?)
- 要是有空,能不能帮我检查一下这篇文章?(時間があったら、チェックしていただけませんか?)
冒頭に上記のような一言を添え、添削してほしい文章を続けて入力したら、投稿しましょう。
たったこれだけで、ネイティブスピーカーに添削をお願いできます。
ネイティブスピーカーからの回答は下記の通りです。
独学しながら、中国人と手軽にランゲージ・エクスチェンジできました。
普段は独学で勉強しつつ、作文を添削してほしいときは『HiNative』に作文を投稿すればOKです。
自分の文章と修正された文章を比較しよう
ネイティブスピーカーが修正した文章は、「どの部分を、どう修正したのか」はわかりません。
そこで便利なのが、自動で2つの文章を比較できるサイトです。
このサイトを使うと、「自分が書いた文章」と「ネイティブスピーカーが修正した文章」を比べられます。
使い方は簡単です。
このサイトに、自分が書いた文章と、ネイティブスピーカーが修正した文章を入れます。
サイトの中の「比較する」のボタンを押します。
そうすると、2つの文を比べて、違う箇所はマーカーで表示されます。
辞書にない単語や表現を調べる
辞書に載っていない単語や表現を調べるときに、『HiNative』が役立ちます。
中国語を独学している人が単語や表現を調べるときは、辞書やGoogle検索を使うことが多いと思います。
ただ、辞書や検索だけでは調べられないこともあります。
たとえば「ある中国語の文の意味がわからない」という場合です。
普通の辞書だと、調べられるのは単語だけで、文の意味は調べられません。
一方、わからないことは何でも質問できるのが『HiNative』の強みです。
たとえば、文の意味がわからなければ、「文全体でどんな意味になっているのか」を質問できます。
また、辞書に載らない俗語や新しい言葉(たとえば「テレワーク」など)も『HiNative』なら調べられます。
独学に慣れている人にとっては、辞書やネットで調べればわかることを『HiNative』で質問する意味はありません。
『HiNative』が役立つのは「普通の辞書やネットでは調べられないことが知りたいとき」です。
『HiNative』は、中国語のネイティブスピーカーに「中国で使える表現」を質問できます。
毎日更新される辞書のような感覚で使えます。
単語や表現を調べる方法
『HiNative』で単語や表現を質問してみましょう。
僕はアプリを使うことが多いので、アプリの画面を使って紹介します。
この質問に対して、ネイティブスピーカーから下記のような回答をいただきました。
中国人が実際に使っている「リアルな中国語」を勉強できました。
普通に1人で独学するだけでは、こういった中国語を知ることはできなかっただろうと思います。
『HiNative』を使う上で大事なこと
『HiNative』を使ううえで注意したいことがあります。
- 日本語学習者からの質問に答えてあげる
- 回答してくれた人にお礼を言う
- 期待しすぎない
日本語についての質問に答えてあげる
『HiNative』には、日本語を勉強している外国人からの質問がたくさん投稿されています。
そういった「日本語に関する質問」に回答してあげましょう。
外国人からの質問に答えてあげると、自分の質問にも回答してもらいやすくなります。
なぜなら、日本語に関する質問に答えると、次に自分が質問したとき、相手に「あなたの質問に回答した○○さんが質問を投稿しました」と通知されるからです。
そもそも『HiNative』はランゲージ・エクスチェンジ(言語交換)の場です。
日本語についての質問には、積極的に答えてあげましょう。
教えてもらったらお礼を言う
こちらの質問に答えてもらったら、回答をくれた人にお礼を言いましょう。
質問に答えてくれる相手はボランティアです。
「質問に答えるために時間を割いてくれたこと」に対する感謝は必要です。
中国語に「礼多人不怪(礼は尽くしても尽くし過ぎることはない)」という言い方があります。
こちらの質問に答えてくれた人が「答えてよかった」と思えるように、お礼を言いましょう。
期待しすぎない
『HiNative』では、相手に期待しすぎないのも大事です。
相手は普通の中国人であって、先生ではないからです。
「中国語に関する理解の深さ」は、中国語のネイティブスピーカー同士でも個人差があります。
たとえば「○○という中国語の表現は自然ですか?」という質問に対して、中国語のネイティブスピーカーは直感で「○○という表現は自然か、不自然か」がわかります。
しかし、「なぜ不自然なのか」は説明できないかもしれません。
日本人が日本語の「が」と「は」の違いを解説できないのと同じです。
『HiNative』で全ての問題が解決するとは思わないこと。
ときには自分で調べることも必要です。
ここまで、ランゲージ・エクスチェンジができるアプリ『HiNative』をご紹介してきました。
中国語を勉強している人、特に独学で勉強している人や「表現力を鍛えたい」と思っている人は、ぜひ『HiNative』を試してみてください。
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