中国語の虚詞とは?【特徴とメリット、覚え方を紹介】

マイクのアップ 単語

“虚詞”って聞いたことありますか?

 

今回の記事は虚詞についてです。

 

「虚詞ってなに?」

「虚詞の覚え方を知りたい!」

という疑問にお答えしたいと思います。

 

また、虚詞を覚えられると、読解や聴解ができないとか、正確な文章を書けないという問題の解決につながります。

 

そしてなんと、「中国語を話せない」という問題も、虚詞を覚えることで解決へ近づくことができると思います。

現に、私は話せなくて悩んでいた時期に、とにかく虚詞を大量に覚えたことで話せるようになりました。

 

中国語を勉強している人でも、虚詞にピックアップすることはなかなかないと思います。

虚詞の定義やメリット、覚え方を知っておくと中国語の勉強に役立つので、ご紹介します。

 

この記事の内容
  • 虚詞は文法を補助する単語で、単独で意味を有さないという特徴がある。主に介詞と接続詞を指すことが多い
  • 虚詞を正しく使えれば、多くの情報を分かりやすく伝えられる
  • 虚詞を覚えるには、専用のノートを一冊作るのがおすすめ

 

虚詞は中国語において大きな役割を果たしていて、中国語学習のキーポイントのひとつだと思います。

 

虚詞は“文法を補助する単語”のこと

カフェで作業

“虚詞”は中国語の単語の種類を表しています。

虚詞を分かりやすく定義すると、

「単独で意味を有さず、文法を補助する単語のこと」

と言えそうです。

 

例えば、「把书打开(本を開く)」の「把(~を)」は“虚詞”です。

「把(~を)」単独じゃ何の意味もありませんよね。

日本語も同じで、「を」という言葉自体に具体的な意味はないはずです。

 

中国語においては、下記のような品詞の単語が“虚詞”に含まれます。

 

  • 接続詞
  • 介詞
  • 副詞
  • 助詞
  • 語気助詞
  • 感嘆詞

 

ちなみに、虚詞と対をなす概念は“実詞”です。

“実詞”は名詞や動詞、形容詞など、単独で具体的な意味を持つ単語のことです。

 

虚詞の中でも“接続詞”と“介詞”が大事

中国語の虚詞の中でも、“接続詞”と“介詞”はとりわけ大事だと思います。

接続詞と介詞は、中国語の文を作る上で大きな役割を果たしていると思うからです。

分かりやすく解説するために、算数の例を挙げますね。

 

1×2+3×(4+5)=29

 

上記の式を中国語の文だと考えてみてください。

接続詞と介詞は、上記の計算式の「×」とか「+」と同じような役割を果たします。

そして、「1」とか「2」のような具体的な数字は“実詞”、「かけ算は足し算より優先される」とか「()の中を先に計算する」といった決まりごとは“文法”です。

 

接続詞と介詞について、もうちょっと深掘りしてみますね。

 

接続詞は単語や文同士の連結に必要

接続詞の用途は、複数の単語や文同士を連結させる」ことです。

特に複文(2つ以上の文を繋げて1つの文章にすること)において、接続詞は大事や役割を担います。

その役割とは、

2つの文の間に意味のある連結をもたらす

ことだと思っています。

 

そう言われても意味がわからないと思いますので、これから分かりやすく解説します。

 

まずは、今回の解説で使う例を挙げますね。

 

他平时很用功,他考试成绩名列前茅

訳:彼は普段からとても頑張っている、試験で優秀な成績を収めた

 

上記の文ですが、前半と後半はどのような関係になっているでしょうか?

 

そう、「因果関係」、即ち原因と結果を表していますよね。

前半は原因、後半は結果です。

それでは、“どうして”上記の文は因果関係を表していると言えるのでしょうか?

 

実は、因果関係を表していることの目に見える根拠はありません

私たちは、私たちの常識(頑張っている=試験で優秀な成績を覚められる)を頼りに「因果関係」であると判断するわけです

そして、その“常識”はあくまでも私たちの中にあり、上記の文の中には表れていません

 

文そのものには、因果関係を示す明確な拠りどころはないわけです。

が、接続詞を使うことによって、因果関係を明確に表すことができるようになります。

 

他“因为”平时很用功,“所以”考试成绩名列前茅

訳:彼は普段からとても頑張っている“から”、試験で優秀な成績を収めた

 

こんな感じですね。

 

「因为~所以…(~だから、…だ)」という接続詞を使うことによって、この文の発話者は「私は因果関係を言いたいんですよ」ということを明確に表すことができます

因果関係を表す虚詞を使うことによって、文脈や常識の助けを借りる必要がなくなるわけです

因果関係を示す拠りどころが、文の中にはっきりと埋め込まれているからです

 

接続詞を使わなかった場合と、使った場合の文を見比べてみましょう。

 

他平时很用功,他考试成绩名列前茅

訳:彼は普段からとても頑張っている、試験で優秀な成績を収めた

 

他因为平时很用功,所以考试成绩名列前茅

訳:彼は普段からとても頑張っているから、試験で優秀な成績を収めた

 

それでは、接続詞を使わなかった文と使った文、聞き手としてはどちらが聞きやすいでしょうか?

 

接続詞を使った文章の方が伝わりやすい

さて、ここでちょっと聞き手の立場になってみましょう。

接続詞を使わなかった文と使った文、どちらがより聞いて理解しやすいでしょうか?

 

「そんなに変わらない」と思うかもしれません。

が、論理的に考えれば、“接続詞を使った文”の方が聞きやすいはずです。

なぜなら、文の意味を理解するための材料が全て文中に含まれているからです。

 

接続詞を使わない文は、因果関係を表すものが文中にないため、聞き手は前後の文のつながりを自分で考える必要があります

それに対して、接続詞を使った文は因果関係を表すもの(「因为~所以…」)が文中にあるため、聞き手が前後の文のつながりを考える必要はありません

 

接続詞を使わない文は、たとえ一瞬だとしても、聞き手に頭を使わせることになるわけです。

 

それに対して、接続詞を使った文は「因为」という接続詞を聞いた時点で、因果関係を言おうとしていることが明確になります。

つまり、聞き手は文の構造を考える必要がなく、文の意味そのものを理解するのに集中することができます。

 

よって、接続詞を使っていない文と接続詞を使った文を比較すると、後者の方が聞き手にとって聞きやすいと言えるのではないでしょうか。

 

接続詞は単語や文を接続しているため、接続詞を頼りにすることで単語と単語、文と文の関係性を一発で理解できるわけです

 

介詞は多くの情報を分かりやすく伝える

接続詞が単語や文同士を連結させるなら、介詞は1つの文にいろんな情報を追加することができます。

 

分かりやすく解説するために、まずは介詞を使っていない文を挙げたいと思います。

 

你谈谈你的想法

訳:あなたの意見を語ってください

 

上記の文はシンプルな“SVO”構造(誰が、どうする、何を)になっています。

 

文としては最もシンプルな形式で、情報量も必要最低限です。

実際のところは、上記のようなシンプルな文で事足りることが多いと思います。

 

が、「誰が、どうする、何を」以外の情報を入れたい場合はどうすればいいのでしょうか?

 

你给大家谈谈你的想法

訳:あなたの意見をみんなに語ってください

 

こんな感じになります。

 

「给~(~に)」という介詞を使うことによって、「意見を語る対象」が加わり、発話者の言いたいことがより明確になった感じがしませんか?

「给」という介詞が「意見を語る対象」を伴って文中に収まったことによって、文の情報量を増やすことができました

 

更に、介詞はいくつも重ねて使うことができます。

今度は場所を追加してみましょう。

 

你在台上给大家谈谈你的想法

訳:あなたの意見を壇上でみんなに語ってください

 

こうですね。

 

「在~(~で)」という介詞を用いて、「意見を語る場所」が加わりました。

発話者の言いたいことも更に明確になっていますよね。

 

虚詞は“言葉のキャッチボール”の潤滑油

虚詞を使いこなせると、虚詞を使わない場合と比べて多くの情報を分かりやすく伝えることができると思います。

分かりやすいように極端な例を挙げますが、虚詞を全く使えないと“単語3~4個”の文しか作れません。

例を挙げますね。

 

我学习汉语

訳:私は中国語を勉強する

 

はい、こんな感じですね。

間違っているわけではなく、文法的には正しい文です。

 

が、実際の会話ってもっといろんな情報を伝えますよね。

それは場所(“図書館で”勉強する)かもしれませんし、目的(“来週試験があるから”勉強する)かもしれません。

 

虚詞を使えるようになってくると、一文(或いは一つの複文)でより多くのことを伝えられるようになります。

 

我在学校学习汉语

訳:私は学校で中国語を勉強する

 

我在学校学习汉语,因为下个星期要考试

訳:私は学校で中国語を勉強する、来週試験があるから

 

こんな感じで、場所や目的を一文で、分かりやすく伝えることができます。

こんなに多くの情報を持たせても分かりやすいのはなぜでしょうか?

 

それは、虚詞が情報を正しく接続してくれているからだと思います。

整理してくれていると言ってもいいかもしれません。

 

例えば「在」という介詞は場所を表すタグのようなもので、聞き手が「話し手は場所を言ってるんだな」と理解するのを助けます

「因为」も同じで、理由を導く接続詞によって、因果関係を言いたいんだということが明確になるわけです

 

もちろん、話し手にとっても虚詞は大きなメリットになります。

虚詞が単語や文を接続することによって、複数の情報を“関連性”を持った“カタマリ”として言葉にできるからですね。

 

最初は疲れるかもしれませんが、慣れれば虚詞を使った方が圧倒的に楽です。

楽して伝わる文を作れるのは最高です。

 

ここまでをまとめると、“虚詞”とは「単独では意味を有さず、文法を補助する単語」である、と同時に「単語や文を効果的に連結させる機能」を持っています

虚詞を覚えると、「聞く・話す・読む、書く」の全てにおいてプラスになります

特に“接続詞”と“介詞”はできるだけ覚えましょう

 

虚詞の覚え方

スマホを見ながらノートに書く

ここからは、おすすめの虚詞の覚え方をご紹介します。

 

虚詞をまとめたノートを作る

虚詞を覚えるには、虚詞だけをまとめたノートを一冊作るのが一番手っ取り早いとおもいます。

ノートに書くことによって印象に残せますし、ちょっとした隙間時間に復習をすることもできるようになるからです。

 

ノートの使い方は人それぞれだと思います。

正解はありませんので、自分が一番使いやすいと思う方法でノートを作ったらいいと思います。

 

ちなみに私は、ノートを見開きで使っていました。

レイアウトは下記のような感じです。

 

左ページ:虚詞の漢字とピンイン、意味

右ページ:左ページの該当する虚詞の用例

 

私のノートを紹介します

参考までに、虚詞をまとめた私のノートをご紹介したいと思います。

 

レイアウトは「虚詞:意味」
↑こちらが左ページ。虚詞の漢字を書き、その右側に意味をメモしています。
左ページの虚詞の用例
↑こちらは右ページです。左ページの該当する虚詞の用例をメモしています。

こんな感じで、虚詞をまとめたノートを作成するのがおすすめです。

ノートは1度作ってしまえば今後も使えますし、虚詞を覚えることによる中国語力の伸びは結構大きいと思うので、是非試してみてください。

 

中国語の虚詞とは?【特徴とメリット、覚え方を紹介】
  • “虚詞”とは「単独では意味を有さず、文法を補助する単語」である、と同時に「単語や文を効果的に連結させる機能」がある
  • 虚詞を覚えることによって中国語力が底上げされる、特に“接続詞”と“介詞”は大事
    • 接続詞:単語や文同士を連結させる
    • 介詞:1つの文に多くの情報を追加する
  • これから虚詞を覚えるのであれば、虚詞をノートにまとめてみよう

 

今回の記事は以上となります。

コメント

  1. ぐわん より:

    こちらの記事、非常に説得力あって僕も同様の勉強をしようと思いました!
    紹介されているノートなのですが、これって自分で作ることに意味がありそうでしょうか?
    もし可能であれば、勉強時に使っていたノートをもう少し公開していただけたりしませんでしょうか?

    • shushu9625 より:

      ありがとうございます!
      私が自分で作った理由は「当時は虚詞に特化した市販の教材が少なかったから」でした。
      自分で作ってよかったと思うのは、「レイアウトを自分好みに調整できたこと」と、「作る過程で虚詞や例文をそれなりに覚えられたこと」だったと思います。
      私は自分のアイデアで何かを作るのが好きなので、そういった性格的なところもあったのかもしれません。
      私が勉強時に使っていたノートの残りの部分も、追々公開させていただきますね。
      今は中国語の虚詞に関する教材もあると思いますので、それを購入してもいいと思います。
      市販の教材には上述のようなメリットはないかもしれませんが、作る手間は省けます。

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