今回はHSK6級の対策についての記事です。
HSK6級は難しいですよね。
HSK6級までくると、時間と労力をかけてちゃんと対策をしていないと、「目安」となる6割以上を取るのは難しいと思います。
HSK5級に受かった方や中国語上級者も、
「HSK6級が難しくて歯が立たない」
「HSK5級との差に愕然とする」
「どうやって勉強すればいいのか見当もつかない」
と思ってしまうのではないでしょうか?
私も2012年12月に初めてHSK6級を受けましたが、「105点」で不合格でした
それ以前にHSK6級の過去問を何回か解いたことがあって、良い時と悪い時がありました
が、結果としては実力不足を思い知らされました
それからはHSK6級対策の内容を工夫して、4ヶ月後に再び受験したときは211点、とりあえず6割以上取ることができました。
確かに簡単ではありませんが、対策をしっかりとすれば6割(180点)以上を狙うことは十分可能だと思います。
今回の記事では、HSK6級対策のポイントをご紹介していきたいと思います。
HSK6級のレベルと出題内容
まずはHSK6級のレベルと難易度を確認しておきましょう。
HSK6級のレベルは下記の通りです。
HSK6級は、受験生の日常中国語の応用能力を判定するテストです。
「中国語の音声情報や文字情報を不自由なく理解することができ、自分の意見や見解を流暢な中国語で口頭または書面にて表現することができる」ことが求められます。
引用:HSK日本実行委員会
語彙力の目安は下記の通り。
主に5,000語かそれ以上の常用単語を習得している者を対象としています。
引用:HSK日本実行委員会
ちなみに、HSK5級の必要語彙力の目安は2,500語でした。
HSK6級は、5級の二倍の語彙力が必要ということですね。
そして肝心の試験内容ですが、HSK6級はリスニング、読解、作文という3つのパートに分かれています。
引用:HSK日本実行委員会
リスニング、読解、作文がそれぞれ100点満点で、全体の合計が300点満点になります。
HSK6級対策のポイント
私が考える“HSK6級対策のポイント”は下記の4つです。
- 文法
- 介詞と接続詞(虚詞)
- リスニング
- 作文
私がこの4点を選んだ理由は追って詳しく解説します。
ここでは「そもそも、どうしてHSK6級対策のポイントを絞るの?」ということをはっきりさせましょう。
HSK6級は求められる語彙が多く、問題数も多いです。
そのため、何を勉強したらいいのか分からなくなりがちだと思います。
「知らない単語が多すぎるし、文法も整理できてない」
「リスニングも読解も作文も、全体的にできない、かと言ってどうすればいいのかわからない」
みたいな感じ、あなたは経験ありませんか?
私は非常にあります
このままだと前に進みにくくなってしまうので、暗闇の中にハマり続けないために、踏み出す方向を決めるわけです。
HSK6級対策のポイントを上記の4点に絞ることで、勉強の方向性がはっきりし、対策を進めやすくなります。
軌道修正はいつでもできるので、まずはポイントを定めて突き進むのが吉です。
HSK6級対策のポイントについて、これから詳しくご紹介していきます。
文法知識は必須!
文法事項は基礎知識です。
「中国語の文法事項は9割方完璧だ」と言えるようにしておくといいですね。
HSK6級はリスニング、読解、作文という3つのパートから構成されていますが、この3つのパート全てにおいて文法知識は必須です。
読解で速読するには文法知識が必須
読解のパートは、問題文をゆっくり読んでいると時間が足りなくなります。
問題数が多く、一つひとつの問題文もボリュームがあるためです。
問題文を速読して問題文全体の意味を把握し、素早く解いていかなければなりません。
“スピード命”の読解のパートで、文法知識がしっかり定着していると楽になります
文法知識がしっかりしていれば、簡単に目を通しただけでも、“誰が”、“何をしたか”、“何について言っているのか”などの基本的な情報を読み取ることができるためです
文法が曖昧だとゆっくり考えながら読まないと文章の意味を把握できません。
そうなると時間をオーバーする危険性があります。
文法知識が曖昧だと作文を書けない
作文のパートで正確な文章を書くときにも文法知識が必要になってきます。
文法とは中国語で作文をするためのルールです。
「ルールを知らないのにどうやって作文するんですか?」
ということです。
HSK6級を始めて受験して落ちたときの私がそうでした。
私自身は自分の文法知識に自信があって、HSK5級の並び替え問題も満点でした。
が、HSK6級の作文はそう甘くありませんでした。
普段の中国語学習や、HSK6級の過去問をひたすら解く過程で「自分は文法知識が弱い」と思ったら、すぐに対処しましょう
文法書を活用したり教科書を復習したりして、文法事項を頭で理解し、クリアにしておくことをおすすめします
中国語の文法を理解するコツは以下の記事でも紹介しています。
接続詞と介詞は役立つ
接続詞と介詞はとても役立ちます。
単語を覚えるときは、接続詞と介詞を優先的に覚えるのがおすすめです。
中国語の接続詞と介詞の総称として“虚詞”と呼ばれます
ここからは“接続詞と介詞”をまとめて“虚詞”と呼びます
この記事に“虚詞”という言葉が出てきたら、接続詞と介詞のことだと思ってください
中国語の虚詞は以下の記事で詳しく紹介しています。
読解・作文のパート、高得点の鍵は虚詞にある
読解と作文のパートで高得点を取れるかどうかは、虚詞をどれだけ知っているかが大事です。
知っている虚詞が多ければ多いほど問題を解きやすくなります。
というのも、「虚詞」と「その他の単語数個」を読み取れれば、問題文の意味はなんとなく掴めるからですね。
虚詞は“文章の構造そのもの”や“複数の文章同士の関係”を表しているからです。
例を挙げますね。
…目前,农民收入与消费水平相对滞后,虽然在一定程度上制约了农村市场的规模和发展,但也同时反映出农村市场具有十分巨大的潜力。从长期看,中国中西部地区农村居民家电对耐用消费品仍处于刚刚起步阶段。据测算,如果以耐用消费品百户居民拥有量为衡量指标,目前中国中西部地区农民消费水平大致相当于城镇居民家庭80年代中期…
上記の文章は長いですし、内容も結構難しい単語が使われています。
この文章を最初からゆっくり読んでいくと時間を使いますし、頭も使います。
そこで、最初からゆっくり読むのではなく、虚詞を頼りに飛ばし読みしてみましょう。
…目前,农民收入与消费水平相对滞后,“虽然”在一定程度上制约了农村市场的规模和发展,“但”“也同时”反映出农村市场具有十分巨大的潜力。从长期看,中国中西部地区农村居民家电对耐用消费品仍处于刚刚起步阶段。“据测算”,“如果”以耐用消费品百户居民拥有量为衡量指标,目前中国中西部地区农民消费水平大致相当于城镇居民家庭80年代中期…
虚詞を目立たせてみました。
上記の文でいくと「虽然…制约了…,但也同时…具有…潜力」これくらいの単語が分かって、“何について書いた文章なのか(そもそもの話題)”が分かっていれば、文の意味も大体分かります
「制約されているということは、それだけ潜在的な力があることも意味している」みたいなことを言ってますね
少なくとも、「虽然~但/但是…」で「~ではあるけれど、しかし…だ」という逆説を表すことがわかれば、文前半の構造はなんとなく理解できますね。
虚詞以外の単語は過去問をやりながら覚える
虚詞以外の単語についてですが、HSKの公式サイトによると、HSK6級の語彙力は5,000語が目安となっています。
しかし、私は実際に5,000語覚えることはしませんでした。
その理由は下記の通りです。
- 分からない単語があっても、虚詞が分かればある程度正解できると思った
- 5,000語を全て覚えるのは時間がかかると思った
私が211点を取ったときも「5,000語も覚えていたか」というと、自信がありません。
試験本番では知らない単語も出てきましたが、“どんな文脈”で“どんな単語と一緒に使われているか”を見たり、“虚詞を見て前後関係を理解する”ことによってカバーすることができました。
できるなら、5,000語覚えるのがベストでしょう。
が、私の場合は、虚詞以外の単語はHSK6級の過去問をひたすら解く中で必要に応じて覚えました。
単語の覚え方は以下の記事をご覧ください。
知らない単語に出会ったらノートにまとめましょう。
時間が経つとどの単語が分からなかったのかも分からなくなります。
知らない単語をメモしても、覚えなければ意味がありません。
以下の記事では、単語を覚えるテクニックを解説します。
複数の単語を効率良く覚えたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
リスニングは速さと長さに慣れる
HSK6級のリスニングは対策必須だと思います。
リスニング対策をしていない状態では、私も手も足も出ませんでした。
私は当時からリスニングが得意で、HSK5級のリスニングもほぼ満点でした
が、初めて6級を受験したときはリスニングで全く聞き取れず、軽くショックを受けました
私が「HSK6級のリスニングが難しい」と感じた理由をまとめてみました。
- 一つの問題文に対して、3~5個の質問が設定されている(第2部分、第3部分)
- 問題文が長い
- 中国語が読まれるスピードが速い
- 問題文は1回しか読まれない
上記の点から、リスニングを対策していない状態だと、リスニングの得点を伸ばすのは難しいと思います。
私の感覚ですが、リスニングに関しては中検1級よりもHSK6級の方が難しく感じます。
HSK6級のリスニングはしっかり対策しておきましょう。
作文は文法と接続詞&介詞で乗り切る
HSK6級の作文のパートは「中国語の長文の要約」です。
1,000文字前後の中国語の問題文を読んでから、400字前後に要約します。
HSK5級の作文問題は「語順の並べ替え」と、「与えられた単語を使って80文字の作文を書く」という問題でした。
HSK6級になると、作文の難易度は一気に上がります。
問題は、「多くの中国語学習者は中国語の作文を書き慣れていない」ということでしょう。
400字の作文を自力で書く機会はなかなかありませんよね。
普段から作文を書き慣れている方ならともかく、ある程度の長さの文章を中国語で書いたことがない方が、いきなり400字の文章を中国語で書くのは結構厳しいです
当時の私のように、100字書いたか書かないかくらいのところでギブアップするかもしれません
最低でも400字前後は作文を書けるように、しっかり対策しておくことをおすすめします。
おすすめの対策方法3選
以上の点を踏まえた、おすすめの対策方法を3つご紹介します。
1.過去問を繰り返し解く
HSK6級の対策としては、過去問を繰り返し解くのがおすすめです。
その理由は単純で、過去問をひたすら解くのが最も効果的だからです。
- HSK6級に必要な基礎知識(文法・単語)をつけることができる
- リスニング、リーディング、ライティングの練習ができる
- 試験本番を想定しながら勉強でき、試験の形式に慣れることもできる
- 過去問の結果を見れば自分の弱点が分かり、それを補強することができる
過去問以外だと、HSK6級の模擬問題集でもいいですね。
「HSK6級の問題を解く → 復習する」というサイクルを繰り返すのがおすすめです。
»参考:HSK6級過去問や役立つ参考書まとめ【無料コンテンツあり】
同じ問題も何度も解きましょう
「HSK6級の過去問をひたすら解きまくる」
これはとても効果的な勉強法です。
HSK6級を受ける方は是非「過去問を解く」ことを優先事項として取り組んでみてください。
コツは、「同じ問題も、間隔をあけて何度も解く」ということです。
同じ問題を何度も繰り返し解いて、意味があるのでしょうか?
私は意味があると考えています。
むしろ、「同じ問題を繰り返し解かないと意味がない」とすら感じています
同じ問題を繰り返し解くと復習ができて、HSK6級に必要な知識とスキルを全体的に強化できるというのが理由です
過去問の活用法は以下の記事で詳しく解説しています。
2.虚詞を覚える
虚詞はたくさん覚えれば覚えるほどプラスになると思います。
虚詞は文脈や文の前後関係を表すので、リスニングや読解の問題文の文脈を理解する助けになると思います。
幸いなことに、虚詞は量自体が少なく、比較的覚えやすいです。
私は虚詞を覚えるためのノートを一冊作って、用例も一緒に書いて暗記しました。
3.中国語に触れる時間を増やす
日常生活の中で、中国語に触れている時間をできるだけ増やすようにしてみましょう。
スキマ時間も有効活用です。
例えば、中国のテレビ番組を見たり、中国語の本を読んだりしてみるといいですね。
スマホで中国語のニュースを読むのもおすすめです。
テレビはリスニング、本やニュースは読解の練習になります。
HSK6級のパートごとの勉強法
HSK6級はリスニング、読解、作文の3つのパートから成っています。
それぞれのパートの勉強法を解説していきます。
リスニング
リスニングは対策必須だと思います。
問題はやはり、一つの問題文に対して最大5個の質問が設定されていること、そして問題文そのものが長いということです
上記の点が問題になってしまうのは、「まとまった長さの中国語をナチュラルなスピードで聞くのに慣れていない」のが原因だと思います
長めの中国語を聞くのに慣れておけば「長すぎる」とか「スピードが速い」というのが苦にならなくなり、問題文の聞き取りに徹することができるはずです。
HSK6級の過去問や模擬試験のリスニング問題を繰り返し解いて、問題文の“長さ”と“読まれるスピードの速さ”に慣れておきましょう。
HSK6級ならではのテクニックも大事
HSK6級のリスニングで高得点を狙うためには、リスニングの能力だけでなく、HSK6級のリスニングのためのテクニックも大事です。
試験のテクニックを活用できれば、本来の実力プラスアルファの得点を狙えます。
こう言うとマイナスイメージがあるかもしれません。
が、テクニックを活用することも、HSK6級の合格を狙うための立派な手段だと思います。
HSK6級のリスニングのコツは、「問題文を聞く前に選択肢に目を通しておいて、選択肢を頼りにしながら答えを探す」ということです。
以下の記事で詳しく解説していますので、興味があればどうぞ。
読解
読解は、リスニングよりはまだ得点しやすいと思います。
日本人なら漢字を頼りに意味を推測することができるからです。
しかし、読解のパートもテクニックは必要です。
カギになるのは“時間配分”です
何も考えずに問題を解いてると時間が足りなくなる可能性があります
「どんな問題に時間を使うか」とか「問題を解く順番はどうするか」といったことを考えておくのがおすすめです
対策の段階から試験のテクニックを身に付けておきましょう。
HSK6級の読解対策は以下の記事で詳しく紹介しています。
間違い探し
HSK6級の読解で一番難しいパートは、読解の一番最初の「間違い探し」ではないでしょうか。
中国語のネイティブスピーカーでも分からないような問題が出題されることもあります。
「間違い探し」の対抗策はこんな感じです。
- 問題文にサッと目を通したら、あとは直感で解答する
- 諦めてヤマ勘で解答する
ときには“逃げるが勝ち”です。
しかし、間違い探しもHSK6級を構成する要素である以上、対策を練っておくに越したことはありません。
私が実践していた間違い探しの対策は、以下の記事で解説しています。
作文
作文もしっかり対策しておきましょう。
最低でも、「400字前後」という文字数はクリアできるようにしましょう。
この文字数をクリアできないと作文の出来不出来以前の問題で、スタートラインにも立てません。
作文のパートの対策をやっていないと、私のように「苦しみながら考えて書いて、やっと100字前後」という悲惨なことになりかねません
HSK側から「400字前後」という明確な要求がある以上、100字しか書けなかったらほぼ“詰み”です
HSK6級の作文の勉強法を以下の記事で解説しています。
今回の記事は以上となります。
- HSK6級対策の4つのポイント
- 全ての文法事項を整理し、知識として覚える
- 接続詞と介詞のボキャブラリーを増やす
- リスニングの速さと長さに慣れる
- 作文は“文法知識”と“接続詞&介詞”の知識を活用する
- おすすめのHSK6級の対策方法
- HSK6級の過去問を繰り返し解く(王道)
- 接続詞と介詞を覚える
- 中国語に触れている時間を増やす
- リスニング・読解・作文、それぞれのパートのテクニックとコツを押さえておく
HSK6級が難しいのは間違いないと思いますが、しっかり対策していれば合格は狙えるはずです。
大事なのは目標にフィットした正しい勉強法で継続することです。
頑張りましょう!
コメント
[…] HSK6級対策のポイントと具体的な対策方法まとめ […]