今回は、中国語検定やHSKの過去問活用法についての記事です。
過去問を解くことは中国語検定やHSKの勉強法としてかなり効果的ですが、一言で「過去問を使って勉強する」と言っても、実際には様々な勉強法があります。
「過去問を解くことの重要性はわかったけど、過去問はどうやって活用するのが効果的なの?」
という迷いもあるかもしれません。
今回はこうした疑問を解決すべく「中国語検定/HSKの過去問を使った勉強法」を詳しくご紹介します。
過去問を勉強するときはただ問題を解くだけではなく、3つのコツを意識して実践すると更に効果的です。
これから中国語検定やHSKを受験する、あるいは将来的に受験したいとお考えの方におすすめです。
今回ご紹介する勉強法で、私が実際に取得してきた中国語の資格は下記の通りです。
過去問を解くことのメリット
過去問を解くのはとても効果的で、「本当に効果あるのかな?」と悩んでしまったり、過去問を解くのを疎かにしてしまうのはもったいないと思っています。
なので、まずは「過去問を解くことのメリット」をご紹介します。
過去問を解くことのメリットは、
・覚えるべき単語や文法を自然と覚えられる ・リスニング、リーディング、ライティングなどのスキルを強化できる ・試験の形式に慣れることができる ・自分はどこが弱いのかを常に確認できる |
があります。
他にもあるかもしれませんが、私が実際に感じたメリットは上記の4つです。
試験対策において必要な事は、過去問を解くことによってできてしまいました。
試験対策は過去問をやっておけばいい?
中国語検定やHSKのような資格の勉強法としては、過去問を繰り返し解くのが第一だと考えています。
「他にもいろんな勉強法があるでしょ?」と思う気持ちもわかりますが、少なくとも「試験対策」においては、他の勉強法でできることは過去問を解くことによっても同じようにできます。
それに加えて、過去問を解くことには「試験の形式に慣れることができる」という大きな利点があります。
これは他の勉強法にはないメリットです。
他の参考書などを使っても単語や文法を覚えることはできますが、それが必ずしも試験対策になるとは限りませんよね。
一方、過去問をやっていく過程で覚えた単語や文法は試験対策になります。
過去問は「過去の試験問題で実際に出題された内容」なので、過去問から得た単語などの知識は試験本番でも活きる可能性が高いからです。
「過去問で覚えた単語が試験本番でも100%出てくる」というわけではありませんが、それは他の参考書を使って単語を覚えた場合も同様です。
であれば、実際の出題傾向に即していて、試験の形式に慣れることもできる過去問を選択するのが効果的だと私は思っています。
過去問を有効活用するためのポイント
過去問を解くことは、中国語検定やHSKの対策としてかなり有効な方法です。
ただなんとなく過去問を解いても効果があると思いますが、工夫次第で、なんとなく過去問を解くよりもっと過去問を有効活用することができます。
過去問をなんとなく解いているだけだと、“試験の形式に慣れる”ことはできると思いますが、単語を覚えたりスキルアップしたり、自分の弱点をしっかり把握するにはちょっと非効率的です。
折角なので過去問をもっと有効に活用しましょう。ポイントは2つあります。
1つ目のポイントは、過去問を解いたら解きっぱなしにするのではなく、復習することです。
覚えるべき単語や文法を自然と覚えるためです。
2つ目のポイントは、弱いと思うスキルに絞ること。他の問題はやらないで、浮いた時間を自分の弱いところの強化に充てることです。
リスニング、リーディング、ライティングなどのスキルを効率的に強化するのが目的です。
過去問を有効活用する3つのコツ
前項で紹介した2つのポイント、
・過去問を解いたら解きっぱなしにするのではなく、復習すること
・弱いと思うスキルに絞ること。他の問題はやらないで、浮いた時間を自分の弱いところの強化に充てる
これを踏まえて、過去問を有効活用するための具体的なコツを3つご紹介します。
過去問を有効活用するためのコツは、
(1) 同じ問題を何度も繰り返す (2) 知らない単語を調べる (3) リスニングと筆記から、正答率の低いどちらかに絞る |
この3つです。
1.同じ問題を何度も繰り返す
過去問を解くときは、同じ問題を何度も繰り返し解くことが大事です。
同じ問題を繰り返すことによって、一度やった過去問を丸ごと復習し、単語や文法を頭に定着させるのが狙いです。
手順としては、
① 過去問を解く ② 間違えた問題や単語を調べる ③ 同じ過去問をもう一度解く ④ 上記➁と③が復習になり、基礎知識とスキルを強化できる |
という感じです。
同じ過去問を繰り返し解くことによって、過去問から得た基礎知識、特に単語の復習ができるんですね。
復習をすると記憶に残りやすくなり、知識として定着します。
復習が有効なのは、人間の記憶の仕組みと関係があります。
短期記憶と長期記憶
私は大学の心理学の授業で、「短期記憶」と「長期記憶」を習ったことがあります。
そこまで深く勉強したわけではないのですが、簡単に言うと、 一度覚えたことというのは時間が経つと忘れてしまいますが(短期記憶)、 繰り返し見たり聞いたりしているうちに脳がそれを重要な情報だと認識し、だんだんと忘れなくなってくる(長期記憶) ということです。 |
私はこれを試験対策に応用しようと考えました。
つまり、過去問を一回やっただけでは短期記憶止まりですぐに忘れてしまうけど、同じ問題を繰り返しているうちに長期記憶に保存されて忘れなくなるだろうと考えたのです。
例えば、中検の第95回~第91回までの5回分が収録されている過去問集を用意したとしましょう。
この過去問集を一周、つまり第95回から第91回までの過去問をそれぞれ一回解いただけで終わりにするのはもったいないです。
第91回をやり終わったときには、第95回の内容は忘れてしまっているかもしれません。
忘れないためには、何周も何周も繰り返すことです。
過去問を繰り返し解くときの一工夫
余裕があれば、第95回から第91回までを単純に繰り返すよりも効果的な方法があります。
こんな感じです。
第95回 → 第94回 → 第93回→ 第95回 → 第94回 → 第93回 → 第92回 → 第91回 → 第95回→ 第92回 → 第91回 → 第94回… |
このように、忘れたかけたと思われるタイミングで再度思い出すことによって、より記憶に残すことができます。
「模範解答を覚えちゃうから意味ない」は間違いです
「同じ問題を何回もやっていたら、模範解答を覚えちゃうからそれ以上問題解いても意味ないんじゃない?」と思ってしまうかもしれません。
が、これはちょっと違うんじゃないかと私は思っています。
同じ問題を繰り返しやっても、知識として定着していないところは意外と間違えたりします。
また、仮に答えを覚えてしまい、間違えることはなくなったとしても「意味がない」というわけではありません。
問題を解くときは毎回「どうしてこれが正解なのか」ということを意識するようにしましょう。
こうすれば、同じ問題を繰り返し解くことの意味があります。
過去問は何周も何周も繰り返すことで、更に効果的に活用することができます。
試験対策をするのであれば、過去問を繰り返し解くことをおすすめします。
2.過去問に出てきた知らない単語を調べる
過去問を活用する2つ目のコツは「過去問に出てきた知らない単語を書き出す」ことです。
単語を書き出して復習に役立てるのが狙いで、単語の復習をしっかりやることで過去問の正答率を上げることができます。
手順は、
過去問に出てきた知らない単語を調べる → ノートに書く |
という感じです。
ノートに書き出しておくと、「自分はどんな単語がわからなかったのか」ということがわかるので、復習するときに役立ちます。
また、通勤・退勤の時や歯磨きなどのちょっとした時間に目を通しておけるのも便利です。
ノートに書いて整理しておくことによって、自分自身に「この単語を覚えよう」と意識させることもできますね。
「単語をノートに書く」という作業は時間もかかりますし、若干面倒くさいかもしれません。
が、知らない単語をそのままにしておくのと、若干面倒でもノートに書いておくのとでは、勉強の効果が違ってきます。
過去問を解くのとセットで、意識して取り組んでみるといいと思います。
効果的な単語の書き方
単語は「漢字」と「意味」を書きます。「ピンイン」は必要に応じて、漢字の上に書いておきましょう。
ポイントは、
・単語の文字色を実詞と虚詞で色分けしておく ・第何回の過去問に出てきた単語かわかるようにしておく |
この2点です。
私の単語ノートはこんな感じです。HSK5級の勉強をしていたときに作ったものです。
このフォーマットは一例ですので、レイアウトは自分で勉強しやすいようにアレンジしていただければと思います。
単語のまとめ方は下記の記事で詳しく紹介しています。
3.勉強の範囲を絞って回転率を上げる
自分の弱点はリスニングなのか読解なのか、あるいはどちらも苦手なのかを明確にして、勉強する範囲を絞りましょう。
勉強の範囲を絞ることによって、より多くの時間と労力を弱点の強化に充てることが狙いです。
自分の弱点は「リスニング」と「読解」のどっちなのかを考えて、苦手な方に絞っていくといいですね。
絞るというのはつまり「リスニングが苦手なら、過去問のリスニング問題だけを繰り返し解いて、読解の問題は解かない」ということです。
読解が苦手なら読解の問題だけを繰り返し解きます。
リスニング(あるいは読解)が得意で合格基準点に達していたら、リスニング(あるいは読解)の勉強をそれ以上続けてもスコアアップはあまり望めません。
自分の弱点、つまりスコアが低い方を優先的に強化した方がスコアを伸ばしやすく、合格に近づくころができます。
試験対策の効率化にも繋がる
勉強の範囲をリスニングと読解のどちらかに絞ることで、勉強の効率化になります。
その理由は2つあって、
1つ目は、弱点をピンポイントで強化するわけなのでスコアを伸ばしやすいからです。
2つ目は、過去問一回あたりにかかる時間を短縮でき、その分過去問の「回転率」を上げることにも繋がるからです。
例として、私が中国語検定準1級の勉強をしていたときのことを紹介します。
私はリスニングが合格基準点に達していた一方、筆記は正答率5割前後でした。
私の弱点は「筆記」だということになります。
そこで、途中から「過去問のリスニングのパートはやらず、筆記のパートだけを繰り返す」ようにして1回あたりの時間を短縮し、その分回転率を上げることにしました。
中検準1級はリスニングのパートが約45分、筆記のパートも40分ほどかかりますので、通してやると1時間半くらいは余裕でかかってしまいます。そうなると、一日3時間の勉強時間を確保できたとしても、過去問は2回分しかできません。 そこで私は苦手分野である筆記に絞り、回転率を上げることを意識しました。筆記のパートは40分ほどなので、3時間あれば4回分はできますし、うまくいけば5回分やってしまうこともできます。 |
リスニングと筆記がどちらも合格基準点に達していない場合は絞れませんので、どちらも頑張ってやるといいと思います。
そのうちどちらかが基準点を超えてくると思いますので、そうしたら基準点を超えられない方に絞ればいいでしょう。
ここまで、中国語検定とHSKの過去問の活用法をご紹介してきました。
この記事の内容をまとめると、
過去問を有効活用するためのコツは、 (1) 同じ問題を何度も繰り返す (2) 知らない単語を調べる (3) リスニングと筆記から、正答率の低いどちらかに絞る |
となります。
中国語検定やHSKを目指すに当たって、過去問は最高の教材です。
過去問を上手く活用しましょう!
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