中国語を勉強するならスクールに入ったり留学したりするのが手っ取り早いですが、お金がかかるのが大きな問題です。
そこで選択肢に入ってくるのが「独学」です。
ただ、中国語は独学でどこまで勉強できるものなのでしょうか?
「中国語をできれば基礎から独学したいと思っているけど、語学は独学じゃ無理だってよく聞くし、独学はやっぱり難しいかな…」
「もし基礎から独学できる方法があったら知りたい!」
この記事では、こういった疑問にお答えします。
結論としては、話すのと書くの以外は完全に独学可能だと思います。
実際、私も大学時代には独学で勉強していました。
第二言語で中国語の授業はとっていましたが、私は独学で授業より先の内容をどんどん進めてしまっていたので、授業は知っていることばかりで復習にしかなりませんでした。
私のノウハウを落とし込みつつ、中国語独学が可能な理由、独学のコツ、具体的な勉強法をご紹介します。
中国語は独学できるのか?
中国語を独学で勉強することは可能です。
大事なのは、独学で勉強できる要素と別途工夫が必要な要素があるということです。
- 独学できる:発音・文法・単語・リスニング・リーディング
- 工夫が必要:スピーキング・ライティング
中国語は独学で勉強できる
繰り返しになってしまいますが、中国語を独学で勉強することは可能です。
中国語の勉強というと“話す”ことをイメージしがちですが、実際は“机に向かって地道に勉強する”ことがメインになります。
基礎から勉強する場合は特に当てはまります。
例えば、下記のことは一人で勉強する時間が必要です。
- 発音・文法・単語を覚える
- リスニングやリーディングの練習をする
教科書を開いてこういったことを勉強するのは一人でもできそうじゃありませんか?
上記のような“インプット系”の作業は独学可能です。
独学可能な要素
独学で勉強できるのは、下記の5つです。
- 発音
- 文法
- 単語
- リスニング
- リーディング
理由は前述の通り、上記の5つは一人で地道に暗記したり、聞く・読む練習をすることによって上達するからです。
工夫が必要な要素
ただ独学で勉強していると伸びにくい要素もあります。
下記の2つです。
- スピーキング
- ライティング
話すのと書くのは、基本的に相手がいて成立するものだからです。
また、相手からのフィードバックがなければ、自分の言った(書いた)ことが正しいのか間違っているのか分かりません。
独学でスピーキングとライティングの練習をするのは確かに難しいのですが、全く無理ではありません。
勉強法を工夫することでカバーできます。
例えば、“シャドーイング”や“リピーティング”を取り入れればスピーキングの上達を見込めます。
中国語で日記を書けばライティングの練習になるでしょう。
要は独学の勉強法をいかに工夫するか、ということだと思います。
まずは独学で勉強してみるのがおすすめ
独学は地道な作業になりますが、それが苦にならなければ独学はおすすめです。
独学にかかるお金は教材費くらいなのでリスクは少なめです。
独学してみて「自分には合わないな」と思ってから、スクールに通うなり留学に行くことにしても遅くはないと思います。
また、「語学を独学で勉強するのは無理」と言われますが、前述の通りで一概には言えないと思っています。
実際、私はほぼ独学で勉強し続けて、中国語検定4級やHSK5級を取得できました。
中国語独学のコツ
独学で中国語を勉強するときのポイントは下記の2点です。
- 短期間で一定のレベル(中国語検定4級)を目指すこと
- 発音・文法・単語・リスニング、リーディングの基本を押さえること
独学するなら短期集中で一気に
独学するなら短期集中で、一気に基礎をマスターするのがおすすめです。
ある程度期間を決めておかないと途中で挫折し、中途半端になってしまいがちだからです。
悠長にやっていると、なかなか上達を実感しにくいものです。
上達実感が涌かないのは結構辛いもので、「このまま続けても上達できないのでは?」という不安から途中でリタイアしてしまう可能性があります。
そうならないために、最低限頑張る期間と目標となるレベルを決めておきましょう。
2ヶ月頑張れば基礎はマスターできると思いますので、「まずは2ヶ月だけ頑張ってみよう」という気持ちでいきましょう。
2ヶ月で中国語検定4級を目指しましょう
どこまで短期集中で行くかということですが、私は
「2ヶ月弱で中国語検定4級レベル」
を目指しました。
この目標設定がちょうど良く、2ヶ月弱で中国語検定4級レベルに行けたことが、後々のHSK4級、5級、6級にも繋がったと思っています。
この経験から、まずは2ヶ月前後で中国語検定4級レベルを目指すのがいいと思います。
どうして中国語検定4級を目指すのか?
「短期集中で目指すレベルを決めよう」というお話をしましたが、中国語検定4級はゼロから独学の目標として最適だと思うからです。
日本中国語検定協会の公式サイトによると、中国語検定4級の認定基準は下記の通り。
中国語の基礎をマスター
平易な中国語を聞き,話すことができること。
(学習時間120~200時間。一般大学の第二外国語における第一年度履修程度。)
発音(ピンイン表記)及び単語の意味,常用語500~1,000による単文の日本語訳・中国語訳。
ご覧の通りで、中国語検定4級の基準は「中国語の基礎をマスター」していることです。
基本的な文法事項は全て覚えている必要がありますし、1,000語くらいの語彙力も要求されます。
逆に言えば、中国語検定4級レベルまで行けたら「基礎をマスター」したことの証明になるわけです。
中国語検定4級は中国語独学のランドマーク
中国語検定4級は、中国語を独学する人にとっての目印(ランドマーク)のようなものだと思っています。
「中国語検定4級レベル」は「中国語の基礎をマスター」したことになります。
中国語を独学で勉強する場合、中国語検定4級は「まずはここまで来てください」という具体的な目印になります。
目印があることで方向性が見え、迷うことが少なくなります。
例えば、あなたが駅へ行く途中で道に迷い、通りすがりの人に道を聞いたとしましょう
あなたならどう答えて欲しいですか?
「この通りを真っすぐ進んで、角のコンビニを右へ曲がると着きますよ」
「この通りを真っすぐ300mほど進んで、それから右へ曲がると着きますよ」
前者の答え方の方が分かりやすくありませんか?
“角のコンビニ”が目印になり、何を目指して歩けばいいのかが明確になるからです。
中国語の独学においては、中国語検定4級が“角のコンビニ”の役割を果たします。
»参考:中国語習得のコツは検定試験を利用すること【理由を解説します】
中国語独学のポイントとなる5つの要素
中国語を独学するためにポイントとなるのは、下記の5つの要素です。
- 発音
- 文法
- 単語
- リスニング
- リーディング
中国語を独学するなら、上記の5つの要素のレベルを上げていくことを強く意識しましょう。
特に“発音”と“文法”は、中国語の独学を支える根幹と言っても過言ではありません。
発音の理解があることで単語が覚えられ、そこに文法知識が加わることで中国語を聞いて/見て分かるようになります。
発音と文法を中心に、単語、リスニング、リーディングを含めた5つの要素を伸ばしていくことを意識するといいですね。
ここからは、具体的な独学の勉強法をご紹介します。
中国語を独学する5つのステップ
私がゼロから始めて2ヶ月弱で中国語検定4級を取った方法をご紹介します。
この方法は独学することが可能です。
- 必要なツールを準備する
- 発音をマスターする
- 教科書一冊を暗唱(暗記)する
- 中国語検定4級の過去問を解く
- “話す”と“書く”を鍛える
1.ツールを準備する
中国語を独学するにあたって、まずは下記のツールを準備します。
- 初級の教科書(CD付属、一冊12課~20課くらいで全ての文法事項をマスターできるもの)
- 中日辞典(紙の辞書でも電子辞書でも可)
- 中国語検定4級の過去問(数回分が収録されているもの)
独学で進めていくわけなので、指針となる教科書が必要です。
そして、教科書はCD付属で、文法事項を全て網羅しているものを選ぶようにしましょう。
ここで文法事項を網羅できていないような教科書を選んでしまうと、後から文法を追加で勉強することになり、時間と労力を余計に費やすことになってしまいます。
教科書の内容をマスターでき次第、中国語検定4級の過去問を解いていきます。
辞書は、中国語の勉強を進めていく中で、必要に応じて随時使っていきます。
2.発音をマスターする【一週間以内が理想】
まずは中国語の発音記号(ピンイン)の読み方を覚えることから始めましょう!
中国語は発音が本当に大事です。
「発音は言語を伝える媒体」と言われますが、本当にそれくらい大事です。
生き物に例えると、発音は身体、文法と単語は魂のようなものです。
というわけで、中国語を独学するときも、まずは発音を身に付けることから始めましょう。
発音の勉強は下記のようにして進めるといいと思います。
- 発音の方法や理論を頭で理解する
- 発音を耳と頭に覚え込ませる
- 実際に音声について発音してみる
順番にご紹介しますね。
2‐1.中国語の発音を頭で理解する
まずはピンインの読み方を頭で理解するところから始めましょう。
ピンインの発音の説明を読んで、頭で理解しておきます。
この段階では上手く発音できなくても大丈夫です。
まずはピンインの説明を読んで、そして「どんな発音なのか」ということを頭で理解しておいてください。
これが発音をマスターするための第一歩です。
2‐2.発音を耳と頭にに覚え込ませる
ピンインの読み方を頭で理解できたら、中国語の発音を身体に覚え込ませていきましょう。
どうするかというと、私は教科書に付属していた音声を繰り返し聞いて、とにかく耳で覚えるようにしました。
教科書を見ながらとにかく音声を繰り返し聞いて、頭の中で音声を再生できるくらいまで徹底的に聞くようにします。
地道な作業ですが、このインプットが後々効いてきます。
2‐3.実際に発音してみる
実際の発音がイメージできるようになってきたら、音声について実際に発音してみましょう。
自分の発音をスマホか何かで録音して、自分でチェックしてみてください。
自分で聞いてみて、大丈夫だと思ったらどんどん次のステップへ進みましょう。
発音をマスターする段階はあまり時間をかけなくても大丈夫だと思います。
私がピンインの読み方を覚えるのにかけた時間は一週間くらいですが、できれば二、三日でササっとやってしまっても大丈夫です。
3.教科書を暗唱する【二週間】
ピンインの読み方が理解できたら、教科書を暗唱していきます。
暗唱することで、
- 語彙力
- 文法
- リスニング
- スピーキング
を同時に鍛えることが狙いです。
私が「音声付属、かつ文法事項を網羅した教科書」を使ってよかったと思う理由はここにあります。
お手本になる音声が無かったら暗唱はできません。
また、せっかく教科書一冊を覚えるのですから、全ての文法事項を覚えてしまいたいですよね。
暗唱の手順は下記の通りです。
- 黙読で文法と単語を確認する
- 文を見ながら音声を聴く
- 文を見ながら音読する
- 文を見ないで暗唱する
コツは「文法と単語を頭で理解し、実際の発音は身体で覚える」ということです。
4.過去問を繰り返し解く【三週間】
教科書一冊を暗記して暗唱できたら、検定試験を利用して、更なるレベルアップを狙いましょう。
中国語検定4級の過去問を繰り返し解いていきます。
過去問を解くことによって、語彙力や文法、リスニングを総合的に強化することができます。
過去問を使って勉強していって、だいたい全問正解できるようになったら、腕試しに一度中検4級を本番形式でやってみてもいいと思います。
私は4月末に中国語を始めて、同年6月末に中検4級の本番を受けて合格しました。
2ヶ月くらいやった段階で、一度初見の中国語検定4級の問題を解いてみましょう。
過去問でもいいですし、本番に申し込んでもいいと思います。
中国語検定4級を受けてみて合格基準点に達していれば、中国語の基礎はほぼマスターしたことの証明になります。
5.“話す”と“書く”を鍛えよう
中国語検定4級合格を以って、中国語の基礎をマスターしたことになります。
中国語の基礎をマスターしたら、何ができるようになるのでしょう?
そう、自分で中国語を話したり、書いたりすることができるようになってきます。
ここまで来たら、基本的な文法と常用単語はほとんど知っているはず。
必要なのは、
「自分の中国語をアウトプットする練習」
です。
“話す”と“書く”のおすすめの練習法を記事にまとめましたので、こちらを参考にしてください。
今回の記事は以上となります。
- 中国語は独学可能
- 中国語を独学するなら“短期集中”が大事
- ゼロから独学するなら、中国語検定4級を目指すのが丁度良い
- 中国語を独学する5つのステップ
- 教科書、中日辞書、中国語検定4級の過去問を用意する
- 発音をマスターする
- 教科書を暗唱する
- 中国語検定4級の過去問を繰り返す
- “話す”と“書く”を鍛える
独学したいとお考えの方は、是非この記事を参考にして、中国語独学にチャレンジしてみてください。
コメント
初級の教科書(CD付属、一冊12課~20課くらいで全ての文法事項をマスターできるもの)とのことですが、実際に使われたテキストをおしえてください。
コメントいただきありがとうございます。
私が実際に使ったテキストは『コミュニケーション中国語』(朝日出版社)です。
これと似たような名前のテキストがいくつかあるようなのですが、私が使ったテキストは朝日出版社のものです。
念のため、朝日出版社のウェブページのリンクを掲載しておきますので、よろしければご参考ください。
»コミュニケーション中国語(朝日出版社の公式ウェブページ)