今回は私の中国語学習の全体像をご紹介します。
「これから中国語学習を始める」という方や「中国語を勉強しているけど、何から手をつけていいかわからない…」という方の参考になれるかと思います。
◆この記事の主張
1.中国語は基礎知識(発音・文法・単語)とスキル(聞く・話す・読む・書く)から成っていると考える。 2.中国語の勉強は「基礎知識を広く浅く勉強 → スキルの鍛錬しつつ基礎知識深掘り」という順番で進めるのがおすすめ。 |
私は2012年から中国語学習を始めて、2ヶ月弱で中検4級、4ヶ月でHSK4級、8ヶ月でHSK5級を取得しました。
割とそこそこのスピードで上達することができたと思っていますし、この経験を共有することで、皆さんが中国語学習をスムーズに進めるための手助けができればと思っています。
この記事では、私の中国語学習法、特に中国語学習を始めてから4ヶ月でHSK4級を取得するまでに行っていた学習の全体像をご紹介します。
中国語を知識とスキルに分ける
中国語の基礎知識とスキルをはっきり区別して、違う次元のものだと捉えています。
◆基礎知識:発音、文法、単語 ◆スキル:聞く、話す、読む、書く |
順序としては、「基礎知識 → スキル」の順番で勉強しました。
基礎知識:発音・文法・単語
「発音、文法、単語」は基礎知識になります。
基礎知識は「聞く」とか「話す」といったスキルの土台になります。
「話す」というスキルを例に挙げてみますね。
発話のプロセスは「①単語を頭に思い浮かべる → ②単語を並べ替えて文章にする → ③音声にする」となります。
例えば、自己紹介で下記の文章を相手に伝えるとしましょう。
・私の名前は樹樹で、日本から来ました。 我 叫 树树,是 从 日本 来 的。 |
言いたいことを述べる時はまず、使うべき単語を知っている必要があります。
『名前を言う時は“叫”、日本はそのまま“日本”、「~から」の言い方は“从~”』という感じですね。
そして、文法知識を使って、その単語を脳内で正しい順番に並べ替え、文章をつくります。
『主語+“叫”+名前だから“我叫树树”、“从”は介詞だから「~から来た」と言うときは“从”+場所+“来”で“从日本来”、過去の出来事を強調する時はその出来事を“是~的”で挟む…』という感じです。
頭の中に浮かんだ単語を、文法に従って並べ替えると文章ができます。
言い換えれば、中国語とは単語を文法のルールに従って並べたものです。
ここまで来たらあと一歩、頭に浮かんだ文章を正しく発音し、言いたい意味を相手に伝えます。
正しい発音で声に出すことで、「単語を文法に従って並べたもの」が「言葉」として機能するようになります。
スキル:聞く・話す・読む・書く
一方の「聞く、話す、読む、書く」はスキルになります。
「発音、単語、文法」の基礎知識を基にして、実際に中国語を使っていくのに必要なものです。
スキルは「状況に応じて、基礎知識をコミュニケーションにおいて運用する能力」とも言えます。
中国語に限らず言語はコミュニケーションツールですが、基礎知識が頭の中に入ったままではコミュニケーションをとることはできません。
基礎知識をコミュニケーションに役立てていくのは一種の技能、すなわちスキルと見なすことができると思います。
例えば先ほどと同じく「話す」というスキルを例に挙げましょう。
話すプロセスは「①単語を頭に思い浮かべる → ②単語を並べ替えて文章にする → ③音声にする」となります。
基礎知識がしっかりしていれば、単語と文法の知識を使って「我叫树树,是从日本来的」という文章を作れますし、正しく発音することもできます。
一方、こういうことを「自己紹介」という場面で適切にこなしていくのが「話す」というスキルだと考えています。
基礎知識は「発音」と「文法」優先
身に付ける順番としては、「基礎知識 → スキル」の順番を意識しましたが、基礎知識の中でも特に大事なのは「発音」と「文法」です。
発音は基礎中の基礎
「発音、文法、単語」とある基礎知識の中で、最優先させたのは「発音」です。
中国語も言語なので、発音は中国語全体を支える大事な要素になってきます。
発音ができないと、他の基礎知識を覚えたところでどうやって使っていくんだ?という話になってしまいます。
全ての文法事項を一気に勉強
発音がある程度問題なくなったら、「文法」に入ります。
この段階で意識したのは、中国語の文法を「広く浅く」やって、深堀りするよりも先に全ての文法事項を一通りやってしまうことです。
先に全体を知っておいた方が後々理解を深めやすくなると思ったからです。
また、文法は数に限りがあるので、結果として短期間で一気にできてしまったというのもあると思います。
私がこの段階で覚えた文法は下記の通りです。
・“是”を使った判断文 | ・副詞の位置 |
・助詞“的” | ・動詞述語文 |
・疑問詞 | ・語気助詞 |
・形容詞述語文 | ・連動文 |
・所在と存在 | ・介詞 |
・アスペクト助詞 | ・様態補語 |
・程度補語 | ・助動詞 |
・数量補語 | ・時間詞と時量詞 |
・進行形 | ・結果補語 |
・可能補語 | ・“把”構文 |
・方向補語 | ・受身文 |
・比較文 | ・兼語文 |
・使役文 |
上記の文法を勉強するのにかけた期間は2~3週間くらいです。
大学の授業や中国語スクールではもっと時間をかけてやる内容なので、私は短期間で一気にやったと言えます。
結果としては、これぐらいのスピードで浅く広く全体を勉強するのが丁度よかったと個人的には思っています。
細かいところまではできていませんが、細かいところは後々勉強することもできます。
むしろ、早い段階で全体を知っておいて、それから時間をかけて深掘りしていった方が効果的だと思います。
文法を一通り知っておけば、文章を理解したり自分で作れるようになってきます。
そうなったら、「聞く・話す・読む・書く」のスキルを伸ばす方向にシフトしていくことができます。
単語は他の学習を通して増やす
発音、文法と来て、基礎知識最後のピースは「単語」です。
私は、単語だけに集中して勉強するようなことはあまりなく、他の要素を勉強する中で出てきた単語を覚えていくような感じでした。
単語は文法と違って数も多く、単語に集中して勉強したところで全部は覚えられないと思ったからです。
発音や文法を勉強したり、スキルを鍛えたりする過程で単語は自然と覚えていけると思ったのも理由です。
例えば、発音段階では、簡単な単語や挨拶を聞いたり読んだりしながら発音を勉強していきます。
「水果」とか「桌子」、挨拶だったら「谢谢」とかですね。
こんな感じで、発音をやりながら単語も自然と覚えていけます。
また、文法段階では、その文法が使われている会話や文章を暗記するようにしていました。
会話のフレーズや文章を暗記することで、単語も文法と一緒に覚えることができます。
単語は、中国語学習全体を通して継続的に増やしていくものだと思っています。
基礎知識の勉強法
私がそれなりに短期間で中国語を習得できた理由をまとめると、「基礎知識とスキルを分けて考えることで中国語の全体像が把握できた」ことと、「基礎知識を広く浅く勉強 → スキルの練習という順番で勉強した」ことになると思っています。
ここからは、この「基礎知識 → スキル」の流れについて、各段階でどんなことをやっていたのかをご紹介します。
まずは基礎知識の習得から始めます。
【発音】聞いて覚える
中国語学習の第一歩は発音からですが、私はとにかく耳で聞いて覚えました。
発音は音なので、とにかく聞いて耳を慣らすのと、音のイメージを作るのが大事だと思ったからです。
この段階の目標は、中国語の発音記号であるピンインを読めて書けるようになることです。
そのために、ピンイン一つひとつに対して、「読み方の解説を読んで理解する → 音声を繰り返し聞く → 真似して発音してみる → 録音して正しいかどうか見直し」を繰り返していました。
ピンインの読み方の勉強法は以下の記事で紹介しています。
また、以下の記事では発音の勉強法と上達のコツを紹介しています。
⇒中国語の発音のコツを紹介【4大“難しい発音”を克服しよう】
【文法】教科書一冊を暗記する
ピンインが終わり次第、文法に入りました。
一通り全ての文法事項を勉強できる教科書を使って、本文と例文の暗唱をしました。
文法は言ってみれば文の構造なので、文章を丸ごと覚えてしまうのが効果的だと思ったからです。
この段階の目標は、全ての文法事項を広く浅く勉強して、中国語文法の全体を知っておくことです。
ここの勉強法としては、「教科書の本文を理解する → 対応する音声を聞いて丸暗記する → 暗唱する」という流れで進めました。
暗唱することによって、その文章に使われている文法を覚えられました。
暗唱の方法やメリットは以下の記事で紹介しています。
また、暗唱するためには、暗唱したい文章を事前に暗記しておくといいです。
文章を暗記する方法はいろいろありますが、私は「対応する音声を繰り返し聞いて音で覚える」、「暗記したい文章をパソコンで入力して覚える」という2つの方法を使っていました。
文章をパソコンで入力して覚える方法は変わった方法だと思いますが、暗記術としてはいい方法だと考えています。
以下の記事で詳しく紹介しています。
【単語】学習全体を通して継続的に
単語はそれ単体で扱わず、他の勉強を進めていく中で増やしていきました。
単語に集中したところで全部覚えるのは無理だと思いましたし、他の勉強をしつつ自然に増やしていこうと思ったからです。
単語の勉強にゴールはないと思っています。
他の勉強を進めていても語彙は結構増やせました。
例えば、文法段階は教科書の本文を暗記して暗唱するのを繰り返していましたが、文章を暗記したことによって、その文章に使われている単語もついでに覚えることができました。
もちろん単語帳を買ったり、自分で単語帳を作って単語を勉強するのもありです。
単語の勉強法は以下の記事で紹介しています。
スキルを習得する方法
発音と文法(とある程度の単語)という基礎知識が一通り終わったら、早速「スキル」の習得に重点を移しました。
1.暗唱する
私がよくやっていたのは暗唱です。
教科書の本文や、HSK/中検の過去問に出てくる文章を暗記、暗唱していました。
暗唱することによって話すスキルが鍛えられました。
また、暗唱の前段階として文章を暗記することになりますが、私はとにかく聞いて暗記していたので、聞くスキルも鍛えられました。
2.HSKや中検の過去問を解く
暗唱と並んでよくやっていたのは、HSKや中国語検定の過去問を解くことです。
HSKや中国語検定はレベルにもよりますが、ほとんどはリスニングと閲読の2パートから成っています。
過去問を解くことによって、聞くスキルと読むスキルが鍛えられました。
また、過去問を解いて答え合わせをする流れを繰り返すことで、浅かった文法知識を深掘りして理解することもできました。
3.シャドーイング
シャドーイングとは、音声を聞きながら、聞こえた音声をリピートしていく勉強法です。
シャドーイングはほぼ毎日、短時間ではありますが取り入れています。
シャドーイングで、話すスキルと聞くスキルを同時に練習することができています。
シャドーイングについては以下の記事で紹介しています。
⇒【話す・聞くを鍛える】シャドーイングのメリットや方法を紹介
4.ディクテーション
ディクテーションとは書き取りのことで、中国語の音声を聞いて、聞こえた中国語のピンインを書く勉強法です。
ディクテーションで自分自身が聞き取るのが苦手な音(ピンイン)が分かるので、聞くスキルを鍛えることができます。
私自身は元々リスニングが得意だったのでディクテーションをやる必要がなく、数回取り入れた程度ですが、ディクテーションで自分は「n」と「ng」の聞き分けが苦手なんだと知ることができました。
ディクテーションについては以下の記事で紹介しています。
ここまで、私の中国語学習の全体像を紹介してきました。
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